終わりなき苦痛
けれど、そんな世界でも、生きる人々の活力はあった。むしろ、そんな厳しい世界だからこそ、人々の生き抜く意志は、他のどこよりも強かったのかもしれない。明日すらも知れない、こんなに冷たい世界でも、人々の心は儚くも燃え続けていたらしい。
……だからこそ、私は落ち込んでしまう。
弱い私には、たったそれだけのことが出来なかった。
どうして私は、未だ生にしがみついているんだろう。報われることなんてないと、最初から分かっているのに。
「君、どうしたの? 一人でこんなところに居ちゃ、危ないよ?」
あてもなく歩き、辿り着いた荒野で途方に暮れていると、
「……私には、関わらない方が良いよ」
「やだね。アタシは関わる。君みたいなかわい子ちゃんを放っとくなんて、流儀に反するからさ」
明るい陽の気が、私の目には眩しい。そんな綺麗に澄み切った目で、濁り、
――ああ、死がやってきた。
「今なら、まだ間に合うから。……早く、逃げて」
「心配しなさんな。こんなのは、障害にもなんないよ」
少女は、舞うように滅びに挑んだ。その手には、意志が編んだ
……なんて、綺麗。
――だけど、駄目だよ。普段なら、それで良いのかもしれない。私の近くでは、悪いことは絶対に起きる。だから、全部に気を払わないといけないの。
「ッ!?」
……ほら、
一拍置いて、鮮血が噴き上がる。綺麗だった少女も、流れる血だけは黒く濁っていた。
……何の非もない貴女を、巻き込んでしまってごめんなさい。素直に、捨て置いてくれればよかったのに。
「……なんだ、今の!? これが、噂に聞く
目を
「……どうして、生きてるの?」
「うん……? ……ま、運が良いからだろうね! やっぱり、君のことが気になるよ。名前は?」
明確な不幸に遭遇しておきながら、なおも「運が良い」と断言した人も、初めてだ。本当に、不思議な人。
「……私は、アイリフォート」
「アイリちゃんね。アタシはナツキ。よろしく!」
屈託なく笑い、私に手を差し伸べる
彷徨える金月の娘 雅郎=oLFlex=鳴隠 @Garow_oLFlex
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