微睡む蒼月の娘
もちろん、どこに居たって、私自身の不幸は変わらなかった。
それにはもう、ずっと昔に慣れてしまった。私自身の不幸は、私にとっての当たり前だった。どれだけ願おうと、運命が私を殺そうとするのは、変わらなかった。昔から、死に抗うのは、ただの日常の一部だった。 展望は、いつでも真っ暗な闇だった。彼方へと叫ぶように、光を探した。
だから、私はお友達が欲しかった。ずっと一緒に居る必要はなくても、たまに一緒に居るときに、ちゃんと
この
彼女にも、かつて
彼女の異能が完成する頃、彼女もまた、遥かの月に憧憬を見た。
だけど、やっぱり彼女も、私には構ってくれなくなった。彼女の『
「ねえ、
「……にゃふ……。……ごめんねぇ、アイリさま。ずうっと寝てて。……アイリさまも、一緒に寝よう……? 気持ち、いいよ……。……すやぁ……」
穏やかな陽だまりの中で眠る彼女は、いつでも本当に幸せそうだった。とても、良いことだと思う。
だけど、その思いを、私は共有出来ない。私は、もっと寂しくなった。
ねえ、神様。やっぱり、私が悪いんでしょうか。
私には、一緒に生きてくれるお友達すら、過分でしょうか。神様には、お友達も家族も、大事な人も居ないんですか。
零れる涙は音もなく、
「……泣かないで、アイリさま。……間違ってなんて、ないよ。わたしは、アイリさまの期待には、答えられなかった、けど……。……むにゃ……次はたぶん、上手くいくよ……」
「……ぐすっ。……
無責任な慰めにも聞こえるその言葉は、しかし確信とともに語られているらしい。
「わかるんだぁ、わたし。
「……
「……そういう意味じゃ、ないよぉ……。わたしだって、アイリさまのことは、好きだよ……? 力にはなれなくて――一緒に隣を歩けなくて、本当にごめんねぇ……。……ぐぅ……」
言うだけ言って、寝てしまった。
その言葉を、信じられるかは分からないけど。それでも、私がやる事に、変わりはなかった。穏やかに寝息を立て始めた、彼女の髪を撫でる。
別れは、名残惜しいけれど。まだ、目的は諦められない。私は、最後の月にも行く。お友達が、希望をくれたから。
――いつか、別のお友達が出来たら。その時は、
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