嘲笑う銀月の娘
故郷に幸福がないのなら、遥かの月にはあるのだと信じて、私の魂は
当然、私の不幸は変わらなかった。私の
ひとり、気になる子が居た。銀色の長い髪に、強い嫉妬に燃える紅の瞳。その子もまた、私と同じように、得難い幸福を求めていた。この子なら、お友達になれるかも知れないと、そう思った。
だから私は、彼女に私の
彼女には、そんなに上手ではなかったけど、私の力を扱える素質があった。幸福を求める執念が、私の力を強く求めていた。一通りの力が使えるようになった頃、彼女は遥かの
だけど、それからは。
転死の秘術。
「ねえ、
「何を言ってるの、
強いた犠牲に対して、得られる利益が少な過ぎるのに、それを改善する必要すら感じていないらしい。それは、間違いなく
「そんな風になるんなら、私はあなたには力を与えない方が良かった」
「後悔してるの? あなたは、回りくどい転生術しか使えないものね?
勝ち誇ったように、
……そうだね。後悔は、確かにしてる。彼女の高慢を見抜けなかった、私自身の目の曇りを。これは、明確な過ちだった。
こんなことは、もうあってはならない。
「そう思うんなら、もうそれでいいよ。さよなら、
「敗北を認めるのね、
……今回は、酷く失敗した。お友達にするのなら、もっとまともな人じゃないと、駄目だ。
――きっと、今度の月にこそ、本当の幸福があると信じて。私はまた、月を渡る。
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