屋上での蜜会

──すんと鼻をつく先輩の匂い。むせ返るような汗の臭い。その匂いが鞠の心を狂わせる



 「痛い・・痛いです!」

 先輩は鞠の手を強引に掴み、昼休みで行き来している廊下の生徒らをかき分けて突き進む。

 あまりにも強引な先輩の行動に鞠は恐怖を覚える。

 ・・怒っている・・のだろうか・・榊木先輩と一緒にいた事を。

 流れだったとはいえ、榊木先輩と一緒に食事をとり、そしてお弁当のおかずの交換をしたのは事実だ。

 友達同士ならおかずの交換もまぁ普通だろう。しかしそれ以上に接近してきた榊木先輩。

 あの距離感が非常にまずかったのかもしれない。

 「せ・・先輩!あれは、榊木先輩が・・さそってきて・・それで、おつきあいしただけなんです・・痛!!」

 先輩に強引に引っ張られ、階段をどんどんあがっていく。そして屋上最上階の一角につく。

 鞠の高校は4階に特別教室がまとめられており、殆ど人気がない。屋上も閉めきられており、生徒はめったにこない。

 あまった机や椅子が屋上の入り口を塞ぐかのように積み重ねられており、掃除もされてないため、埃が舞う。

 その埃まみれの床に鞠は突き飛ばされる。

 「きゃ!!」

 尻餅をつき痛みを堪えきれずに涙する鞠。

 「・・せ・・先輩・・怒っている・・んですか・・本当にごめんなさい。私は悪気は・・」

 「・・あ・・」

 そのまま先輩は倒れた鞠に馬乗りになり床に押し倒した。そしてワイシャツに手をかけボタンごとブチブチと引きちぎる。

 「あ!!いやぁ!!」

 強引な先輩の行為に鞠は恐怖を覚えた。

 先輩が怖い・・目を覆う鞠・・・が・・ポタポタを頬に液体が垂れるのを感じた。

 そっと目を開ける。鞠に覆い被さる先輩の顔・・赤く染めた頬・・そして涙を溜めた瞳。

 (・・なんで・・私にこんなことをして・・泣いているの・・?)

 涙を溜めた瞳をすっと閉じると、そのまま鞠に口づけをする。

 「ん・・♡」

 そのまま深いキスに。

 やはり先輩のキスは優しく感じる。初めて部室でされた時もそう思ったのだ。

 強引に押し倒されてまた奪われたのに嫌いじゃないと思う鞠がいる。

 「ん♡・・先・・輩・・」

 長い口づけを終え、息を切らしていた先輩がようやく口を開いた。

 「はぁ・・なんだかわけがわからなくなる・・」

 「・・え・・?」

 「鞠・・あなたと・・そして、榊木と・・一緒にいるのを見て・・訳が分からなくなってしまうの」

 その先輩の気持ちはやはり強い嫉妬なのだろうと鞠はそう思った。しかし、であれば怒りの気持ちをあらわにするはずだ。しかしなぜ鞠にもこのような形で意識するのだろうか。

 鞠には先輩の涙の気持ちがわからない。

 「・・取りあえず・・私からおりて・・もらえますか・・?」

 その言葉を先輩は聞くと大きくため息をつき、髪をかき上げる。

 するとシャツを脱ぎ始めるのだった。

 (え・・?なに・・ちょ・・っと・・)

 そしてブラのホックを外し、たわわな胸をさらけ出す。そして鞠にその胸をおしつけるかのごとく覆い被さり、そして首筋を舐め始める。

 「あ・・なに・・を・・あ♡」

 先輩は鞠のブラをめくり上げ、優しく胸を触る。同性とはいえ初めて胸を触られる。先輩の冷たい指先がなで回すことに、気持ちよさがこみ上げてくるのだ。

 鞠が呼吸を乱していると、愛撫を止め先輩はそのまま胸、そしてお腹に舌を這わせる。

 そして、先輩の指がするりと鞠の大事な所に・・。

 「あ♡やぁ!!」

 一番敏感な所を指で転がし、触れるのだ。

 そして、そこにふれるたびにビクっと鞠は体を震わせた。

 鞠の頭の中は真っ白にどんどん染め上がる。

 そして先輩の色に染まっていく。

 しっとりと汗をかいた先輩の汗の香り・・香水の香りがまた鞠の心を狂わせる。

 すでに暴力を振るわれたことは頭の中にはなかった。もっと・・もっと・・先輩に染め上げて貰いたい・・それだけになってたのだ。

 そしてだらしなく開いた鞠の太ももに先輩が口で触れようとした瞬間・・。


 ─ガタ!!!


 ・・と大きな音がする。

 「誰!!?」

 とっさに先輩が身を起こし、音の方向を確認する。

 ・・散乱した弁当箱やら筆記用具・・箱のデザインからして男子だろう。

 我に戻った先輩が膝をついてまた髪をかき上げる。

 「・・見られた・・」

 また第三者に二人の行為をみられてしまった先輩はそそくさと身なりを整えると散乱している誰かの私物をあさる。

 「・・2年かぁ・・ふぅ・・まぁいいわ・・」

 「鞠・・制服を破いちゃってごめんね・・ついかっとなっちゃって・・あたし、シャツのスペアがあるからもってくる・・そこでじっとしていて・・多分サイズは大丈夫だと思うけど・・」

 そのまますたすたと階段を降りていく先輩。

 鞠は快楽で体が動かずただ涎をたらして惚けているだけだった。

 そして踊り場の天井をぼーっとながめて余韻に浸る。


 (・・何も・・考えられない・・)

  

 先輩の行動に目もくれられず・・ただ、鞠は下半身からじんじんと響く余韻に浸るだけだった。

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