156.宝くじ

「宝くじの番号……?」

「ど、どういう意味?」

「君達、未来から来ただろ? 私には分かる」


 カガミさんは、自信満々な表情を私達に向けてきた。

 どうしてバレてるの!? いつバレた!? というか、さっき笑いを堪えていたのって、そういうことだったの!?


「カガミさんはそういうの信じてる系?」

「そういうのって?」

「そういう、奇跡や魔法みたいな……? カガミさんって大学生だから、そういうのは現実にないって、分かってるんじゃないかなって」


 あくまで知らないフリをしよう。

 そうだ! よくよく考えたら、タイムスリップとか現実じゃ普通あり得ないし!


「なぁに言ってるんだ! ついこの前、ダンジョンが出現したんだぞ? そのくらいあってもおかしくないだろ?」


 た、確かにそうだ!


「後ブレイドオンラインの映画なんてまだやってないのに、見たことあるみたいなこと言ってただろ? 他にも怪しい発言はあったし、そう考えるのが普通だと思うな」


 いや、本当にね。ごめんね。

 私はソラちゃんとココロちゃんに、軽くお辞儀をして謝った。


「ま、いつかはバレると思っていたが、流石っすね!」

「そうですね。ずっと隠すというのも、難しいですしね。後ルカさんそんなに申し訳なさそうな表情しないでください。私なんて漫画の考察スレに、考察と言う名のネタバレ書いて遊んでましたし!」


 2人は許してくれた。

 本当に申し訳ないね……。


「え!? え!? マジで未来から来たの!? マジかマジか! まさか☆マジカ!」


 カガミさんはさっきよりも表情を明るくすると、私達に色々訊いてきた。


「宝くじの番号本当に覚えてないのか!? 未来では何が流行ってる!? 今年発売予定のバトルモンスターズXYのZバージョンって後々発売するのか!? というか、どのくらい先の未来から来た!?」

「た、宝くじの番号は本当に覚えてないよ! 未来ではインターネットが流行ってるかな? Zは出ない。私達がいた未来は、2024年の2月上旬! これでいいかな?」

「おお! 2024年! まさかタイムマシンが完成するのがそんなに早いとはね!」

「あ……タイムマシンじゃなくて……」


 私達はカガミさんに話をした。

 私の魔法でここに来たことや、コアを見つけないと将来的に世界がダンジョン化してしまうこと、そして実際にそれが起こってしまい私達がこの時代に来たこと。重要なことはほとんど話した。


「未来を救う為……ね」


 カガミさんは、真剣な表情でつぶやいた。

 もしかして、巻き込んじゃったことに対して怒っている……?


「巻き込んじゃって、ごめんなさい」

「え? なぜそうなるんだ?」


 師匠は右拳を自分の顔の前でギュッと握りしめた。


「やってやろうじゃないか! 当然これから先も協力させて貰う! だから、遠慮しないでこれからもドンドン話してくれ!」

「カガミさん……!」

「私は働きたくないからな! 未来のネタもドンドン話してくれ! そして働かなくて済む未来を、私は絶対に守り抜く!」

「え……?」


 カガミさんの目は本気だった。

 この時代のカガミさんは、なんかこう……年の離れた大人の友達って言うよりも、近所の親しみやすいお姉ちゃんって感じがする。


「ふふっ! 私は学校で友達もいなくて、勉強もできない。将来は仕事仲間とも上手くやれず、その上仕事もできずに、精神を病んでいる姿が容易よういに想像できる。だが、働かなければそうはならない!」

「え? 未来のカガミさんは、仕事バリバリこなしてたよ? でも、Utuberとして稼ぐ為に私達と会った後は仕事辞めたみたいだけど」

「な、なにぃ!? バリバリこなしていたのに、なぜ辞めたんだ!」

「い、いや、正直仕事でのカガミさんについてはよく知らなかったから、色々あったんじゃない? なんか仕事し過ぎで疲れてたみたいだし。あ、でもよく考えたら私が誘ったせいかも……なんかあの時は軽く誘っちゃった気がする……」


 私がそう言うと、カガミさんは5秒くらい考え込んだ後言う。


「あー……OKOK! 気にするな! 大体把握したわ。そりゃ多分仕事ができなさ過ぎて残業とかしてるパターンだな! 私には分かる!」

「そうなの?」

「ああ! 多分な!」


 カガミさんはニヤニヤと笑っていた。


「ということで、絶対にコアを倒すぞ! 後……」

「後?」

「できるだけ、元の時代に帰れるようにも協力はさせて貰うが、もし無理だったら一緒に暮らしていこうな」


 凄く心強い。これで最悪元の時代に戻れなくても、生きていくことはできる。

 協力者がいることが、こんなに心強いだなんて……。


「でだ。そのコアを倒す方法なんだが、思いついたこと言っていいか? とは言っても、まだそのゲート自体も見つかってない訳だから、先の話にはなると思うが……」

「え!? なんかいい方法あるの!?」

「先にスキル発動してから行けばいいんじゃないのか? 例え魔法が使えなくても、君の変身後の姿なら結構強いと思うしな」


 確かにそれができればいいけど……。


「未来でも、ダンジョンの外じゃスキルは使えないから」

「そうか。だったら、なんか別なダンジョンからワープして行くってのはどうだ? なんかそんなアイテムとかないのか?」


 なるほど! いや、でも……。


「アイテムはないけど……あの魔法だったらもしかして」


 階層は越えられた。そして、時間も越えられたんだ。

 もしも、もう1度時空間移動……いや、空間移動でもいいから手に入れることができたら、ダンジョンからダンジョンに移動することができるかもしれない!

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