37.力を1つに!
白い羽のヘラクレスは師匠に任せて、私達は先に進む。
「うぅ……私達は、本当に勝てるんでしょうか……」
『ソラちゃん、もっと楽しまないと損だよ!』
「ルカさんは凄いですね……だって、あれ見てくださいよ……」
デスティラノの体が遠くからも見えた。
もう20mは超えている!
黒いボディと赤い目が中々にダークだね。
「ったく、勝算はあるんだろうな?」
『あるよ! 魔法でのゴリ押し! 後は、ココロちゃんとのコンビネーションと、ソラちゃんのサポートだね!』
「そうか! だったら、私もルカの期待に応えられるように頑張らないとな!」
ココロちゃんもやる気十分だね!
「わ、私もポーションでサポートします!」
『頼んだよ! ソラちゃん!』
「本当に元気ですね……どうしてこんな状況でも楽しもうとできるんですか?」
『かなり昔の友達の影響でね! 少し話しただけで、今はどこに住んでいるのか分からないけど!』
「なるほど、その人は、今のルカさんみたいに明るい人で、良い影響を受けたということですね!」
『う~ん。大人しい子だったかな!』
ソラちゃんよりも静かな子だったかな。
「そうなんですか?」
『うん! また会いたいなぁ』
っと、懐かしんでる場合じゃないね!
もうすぐ、デスティラノの所に到着だよ!
「グルルルァ!!」
さっきよりも狂暴そう!
じゃあ、行くよ!
マジカル☆ファイア連射!
黒い火球をデスティラノへ放ったけど、やっぱり、あんまり効いてないみたい。
いや、よく見たら少し焦げ目はできてるから、連射は効果的かも!?
よし、連射連射連射!
「私も連続【スラッシュ】だ!」
ココロちゃんは連続でスラッシュを放った。
衝撃波が次々と飛んでいく。
「グルルルルァ」
やっぱり、剣での攻撃には弱いみたいだ!
『ソラちゃん! 尻尾ソードを!』
「了解です!」
飛んできた尻尾ソードが地面に刺さる。
私はそれを抜いて、デスティラノを斬ろうとする。
「グルルルァ!!」
って! 剣を爪楊枝みたいに持たれた。
そして、私の体ごと投げられてしまった。
尻尾ソードは折れそうになっていた、回復の為、ライムのカードの中へと尻尾ソードを戻す。
「こうなったら! 短時間でのゴリ押しだよ!」
私は変身を解除し、10mの姿に変身し直す。
それでも、向こうの方が倍は大きい。
でも、諦めない!
スター☆カッター!
私は星型のカッターを両手に持ち、それをデスティラノへと投げ付けた。
けど、簡単に弾かれてしまった。
その後放った、バチバチ☆スパークの追加効果の麻痺も効かなかった。
やっぱり、マジカル☆ファイアの火力で押すしか無いね!
「グルルルルルァ!!」
しまった!!
デスティラノの全身から、黒い炎が噴出された。
火山の噴火のようだ。
「ぐああああああああああああ!!」
『ココロちゃん!?』
ココロちゃんは食らってしまったようで、吹っ飛ばされてしまった。
そして、私もだ。
幸い私は変身中、一定以上の痛覚が遮断されているみたいだったから、痛くはなかったけど、体が弱っているのがなんとなく分かった。
これマズイんじゃないの!?
私達は一旦岩に隠れた。
目立たないように、私は変身を解除している。
「助かったぜ! やっぱりソラのポーションは効くな!」
「ありがとう、ソラちゃん!」
ソラちゃんは、私達に回復用のポーションを渡すと、顎に手を当て、深刻そうな表情をする。
「このままで、勝てるのでしょうか……それに、体力は回復できても、精神面の傷は回復できません」
「それはそうだけど! やらなくちゃ私達の探索者人生はここで終わっちゃうんだよ!?」
「そうです。だから、少し賭けをしませんか?」
「賭け?」
「はい」
「それは、面白い?」
「はい、とても!」
だったら……。
「やろうよ! 勝てるかもしれないってことでしょ!?」
「はい!!」
ここで、私とココロちゃんに向けて、ソラちゃんが作戦を話してくれた。
そして、私達は再びデスティラノの前に立つ。
さぁ! もう1度勝負だよ!
「ルカ、準備はいいか!」
「勿論だよ! マジカルチェンジ!」
私は変身し、後ろにいるソラちゃんに向けて頷いた。
『行けるよ! ソラちゃん!!』
そう言うと、ソラちゃんは技の書【融合】を使用し、融合を獲得した。
本来、この技は融合素材に必ずモンスターを含まなくてはならない。
そして、相性も重要だという技みたいだけど、私とココロちゃんなら相性バッチリだね!
え? 2人共モンスターじゃないって?
ソラちゃんの考えだと私はダンジョンにモンスターとして認識されているから、モンスター扱いで融合できる……らしいよ!
「融合!」
ソラちゃんがそう叫ぶと、私とココロちゃんを真っ黒な何かが包み込む。
そして、再びソラちゃんが顔を赤く、どこか恥ずかしそうに叫んだ。
「漆黒の破壊龍と剣聖の力が交わりし時、剣舞常闇の龍がいざ生まれん!!」
これ、私が考えました!
「現れてください! この状況を打破する最強のモンスター! いや、魔法少女!! この絶望に一筋の光を!!」
これはソラちゃんが考えました!
そして、包み込んだ闇が解き放たれた時、1体の別な龍が誕生した!
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