10.初の試合
スキル【巨大化】。
ビッグさんが使用したスキルだ。
効果は分からなかったが、名前でそれを予想することは簡単だった。
「どうだ! これが俺の自慢のスキルだ!」
予想の通り、体を巨大化させるスキルだった。
でも……あの大きさ、10mはありそうだ……。
私の魔法少女形態のフル出力時の大きさと、同じくらいだ。
「はっはっは! 食ってやる!」
ドシンドシンと大きな音を立てながら、こっちに走って来た。
「まずい!」
私はビッグさんの手に捕まってしまう。
「いただきまーす!」
このままでは食べられてしまう!
「うわっ……! マジカルチェンジ!!」
私は急いで、【魔法少女】を発動させた。
相手の大きさを考えて、フル出力での変身だ。
フル出力だと10mの大きさで変身できるけど、変身時間は5分が限界だ。
短期決戦しかないね。
「グオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
変身により、ビッグさんの拘束から解放された。
「なにぃぃぃぃぃぃぃぃ!? モンスターに変身するスキルだとぉ!?」
魔法少女なんですけど!
「だが、面白い!」
ビッグさんはニヤリと笑った。
そして一旦離れたと思うと、助走を付けて走って来て、私に向けて拳を振るう。
「食らえ!」
私はそれを、両手を使って受け止めた。
痛くは無いけど、結構衝撃あるね!
「俺のパンチを受け止めるとはな! だが、ラッシュだ!!」
今度は連続で私を殴ってきた。
私はあえて攻撃を少し食らい、相手の体に噛みついた。
「ぐああああああああああああああああああああ!!」
私はそのまま走りながら、顔を思いきり振り、そのままビルに向けてビッグさんを叩き付けた。
ビルはその衝撃により、折れちゃったみたいだ。
やったと思ったが、なかなかタフみたいで、ビッグさんが起き上がった。
「珍しいスキルだからって負けない! それにレア度では俺の方が上だ! なんせ、有名Vtuberと知り合いなんだからなぁ!!」
Vtuber……!?
Utubeってサイトで配信している人のことを、Utuberって呼んでいるのは聞いたことあるけど、Vtuberってのは聞いたことないよ。
ま、まさか……。
ヴァーサーカーチューバー……!?
こわ……。
「驚いているみたいだな!」
それはそうでしょ。
あれ? でもバーサーカーってVじゃなくて、Bから始まったような気もする。
っていうか、時間は限られてるんだから、早く決めちゃわないと!
よし! 折角だし、あれ使おうっと!
でも、それには相手の動きを止めないと!
「今だああああああああああああああああああ!! ファイアボール!!」
大きな火の玉が飛んできたけど、ここは突っ込む!
「突っ込んで来ただと!?」
よし、HPゲージは無事だ!
一気に決めるよ!
私はその勢いのまま、またビッグさんの体に噛みついた。
そして、ドシンドシンとダッシュをしながら顔を振り回す。
そのままビルや家に何度も何度も叩き付け、ビッグさんを怯ませる。
街がボロボロになってしまったけど、仕方がない。
「ぐああああああああああああああああああああああ!!」
よし、今だ! 拘束を解除して……魔法【バチバチ☆スパーク】!!
「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
私の右手に黒い電気がまとわりつく、そしてそれを相手に投げ付けた。
果たしてどうなる!?
「ぐはああああああああああああああああっ!」
凄い! 当たった瞬間一瞬だけ辺りが暗くなり、当たった個所の空間が裂けたかと錯覚するかのように、ビッグさんの体に放電した!
ってなんか、魔法少女の子が使ってたのと違うような……。
でも、意外と威力は控えめなのかな?
どっちにしろ、ビッグさんはまだ倒れていない! マズイね……。
あっ! けど痺れて動けないみたい! これはチャンスだよ!
私はビッグさんに噛みつき、そのまま上空へと飛翔した。
実は初めての飛翔だが上手くいった。
そしてそのまま、上空で更に上に放り投げ、私はその下から魔法を打ち込む。
マジカル☆ファイア!!
それを使うと、私の口から黒い火球が発射され、上空のビッグさんにヒットした。
「くっそおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
火球は上空で大爆発を起こし、ビッグさんのHPゲージが0になる。
しばらくすると、上空からビッグさんが通常サイズに戻って、落ちてきた。
「がはあああっ! マジかよ……負けちまった」
試合が終了し、視界のお姉さんが言う。
「決まりました! 勝ったのは赤コーナーの匿名希望さんです! 謎のスキルと謎の攻撃で見事勝利をもぎ取りました!」
会場が盛り上がった。
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