11.プロローグが終わった気がした
「いい勝負だったね」
私は変身を解除すると、立ち上がったビッグさんに言った。
まさか、またしてもフル出力で戦うことになるとは思ってなかったよ。
「参った! それにしても、容赦ないね、キミ」
「えへへ」
褒めてくれたんだよね?
というかこの人、試合中と大分印象違うね。
「それでは素晴らしい戦いを見せてくれたお2人に、もう1度拍手を!」
司会のお姉さんがそう言うと、拍手の音が沢山聴こえてきた。
素晴らしい戦いって、照れちゃうな。
「それにしても、モンスターに変身するスキルだなんて初めて見ましたけど、もし良ければなんというスキルかを、教えていただけませんでしょうか?」
司会のお姉さんが私にマイクを向けてきた!
ここまでされちゃうと、答えたくなっちゃうよね!
「【魔法少女】です!」
「魔法少女!?」
驚いてるね。
それはそうだろうね、私自身だってビックリしたんだから。
けど、魔法少女なのは事実だから仕方ないよね!
「魔法少女って、えーと、本当ですか?」
「本当ですよ! どう見たって、魔法少女にしか見えませんよ!」
ちょっとボケて答えてみた。
笑ってくれるといいな。
「魔法少女じゃないですよ、ね?」
あれあれ? 笑う所だったのに!
「魔法少女ですって! 魔法も使いましたよ!」
「魔法ですか……?」
「はい! 例えば最後に使ったのは、マジカル☆ファイアって魔法ですよ!」
私の場合は破壊力が違うし、炎の色もなぜか黒いけどね。
「うん、えーと……ごめんなさい!」
突然司会のお姉さんが頭を下げた!?
「今まで無かったスキルですからね、詳しくは秘密ですよね!
それなのに、訊いちゃってごめんなさい!」
あれ? もしかして、私がカモフラージュの為に魔法少女って答えたと思われてる?
本当に魔法少女なんだけど……まぁ、いいか!
そして、改めて皆から拍手を貰った。
「それでは次の試合……」
私はその場を去って、ソラちゃんの所に行く。
「お待たせー!」
すると、顔色が悪く、震えていた。
今日そんなに寒かったかな?
もしかして、風邪!?
「ルカさん、お面どうしたんですか……?」
「お面?」
あっ!
ない!
無くしてしまった!
折角記念品としてとっておこうと思ったのに!
でも、ソラちゃんがそんなにシュンとする必要もないと思うんだけどなぁ。
「そんなに似合ってた?」
「違いますよ! 完全に顔バレしましたよ!」
「顔……? あっ! あああああああああああ!!」
皆に顔がバレてしまった。
これマズイよね!?
「どうしよう!?」
多分、ビッグさんに捕まれた時だ。
その時にハズれたんだ。
覆面タイプのお面だったらハズれなかったけど、お祭りで売ってるような感じのお面だったからね。
「ソラちゃんどうしよう!?」
「お、落ち着てください! 私も落ち着きますので!」
ダンジョン内の椅子に座り、ソラちゃんと話す。
「ごほん! えーとですね、まず大々的にニュースとして取り上げられる心配はないでしょう。ダンジョン自体、少し有名なゲームくらいの人気ですからね。勿論、コアなファンはいますけど」
人気はあるけど、皆が皆ダンジョン探索してる訳じゃないもんね。
結構危ない行為でもあるし。
「ですので、全国テレビで流されるということは無いでしょう。しかしですよ? 問題はネット上です。これから先、ルカさんの顔が拡散されて、特定に繋がる危険性があります」
「私なにも悪いことしてないのに……」
「今の時代、ストーカーとか怖いですからね」
「怖いこと言わないでよ!」
うぅ、大変なことになっちゃったよ。
いやでも、よく考えたら、珍しいスキル持ってる人って他にもいるよね?
それ考えたら、別にそこまで騒がれないのでは?
「急に落ち着きましたね」
「まぁ、そこまで騒がれないんじゃないかってね」
心配して損したよ。
ま、結局私はただの女子中学生だしね。
「さぁ、帰ろうか! 明日はソラちゃんが転校して来る日だもんね!」
「え? ああ、そういえばそうでしたね」
前は転校に関してあんなに緊張してたのに、余裕そう!
緊張がほぐれたみたいだね。
それにしても明日はココロちゃん、ソラちゃんと3人での登校だ!
楽しみ!
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