第16話 星空の 下でまたたく メッセージ

 スマホが通じるようになった。

 それは、すごく助かる。

 

 とんでもない量の姉ちゃんからの連絡が来ている。

 「こっちは無事」「いつか復旧した時のために」「元気?」「復旧したら、連絡してね」「お腹空いてない?」「怪我していない?」 「無理しないで、駄目なら帰ってこい」……通じないのに、それでも心配で、送ってくれていたのであろうメッセージが、怒涛のように流れ込んできた。


「心配性なんだから」


 俺は苦笑いしないがら、姉ちゃんに「大丈夫。もうすぐ目的地」と入力する。「良かった」「絶対生きてまた会おう!」姉ちゃんの返事。


 彗星は、明日の夜に到達予定だ。

 明日の明け方。


 それで俺たちの命は終わるのかもしれない。

 どんな明日が待っているのかは分からないが、明日は、あずさに会えるはずだ。

 

 「会いに来た。明日の朝、家に行く」


  あずさにそう連絡を入れる。「うそ!」という返信に「マジ」と返す。「最期の日に一緒に過ごせるの最高だね」というあずさのメッセージに、心がじんわりと温かくなる。


 もっと、もっと早く会いに行けば、もっとたくさん会えたのかな?


 そう思わずにいられない。

 後悔は、たくさんある。

 もっとやりたいことは沢山あった。

 こんなに早く世界終了の知らせが来るなんて、思いもよらなかったから。


 もっと、もっと、世界が続いてほしかった。

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