第9話 日常の味シャクリ スイカ一片

次の日からは、ますます街は大混雑。

要人が地球外へ逃げだすような現状。焦り出す人々は確実に増えていった。


 『要人』とまではいかない金持ち達は、シェルターを作ってそこに引きこもっているらしい。

 ジャーナリスト連中は、社会の闇をドンドン暴き出すが、正直もう聞きたくない。


 聞いたところで、俺の終わりに何かが変わるわけではない。むしろ、これ以上の混乱が起きれば、街の治安なんてものが無くなって、彗星が来なくても人生終わる。


 姉ちゃんは怯えて外に顔も出さなくなり、親父も仕事に行かず、母さんも買い物にすらいかない。行ったところで店なんか一体どこでやっているのか。


「食べよ! スイカ!」


 母さんの切ってくれたスイカは、甘くいつもの夏の味がした。

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