第7話 彗星がきらめく夜に 君の声

 夜、電話が掛かってくる。

 相手は、幼馴染の佐野あずさ。二年前から遠くに引っ越してしまったから、スマホで時々連絡を取るだけの間柄になっていた。


 正直、嬉しい。

 

「今、いい?」


 久しぶりの声に、胸が高鳴った。

 

 家族の前で話すのは憚られるから、ベランダに出てあずさと話す。


「彗星……」

「うん。衝突するんだろ? 今、外に出たら、見えるよ」


 すでに肉眼で確認できる彗星。

 まだ、小さく見える彗星は、尾を引いて夜空を彩っている。


「大丈夫?」

「うん。なんか、女の子は外に出るのは危ないって、お父さんが心配してさ。ずっと家にこもりっきり」

「大変だね」

「もう、どこの国の誰でもいいから、早く解決策を考えてほしい!」

「ほんと、それなだよ!」


 この時は、僕らは信じていたんだ。

 世界の偉い人達ってやつを。

 きっと、世界を救う術を考案してくれるために頑張っているんだと思っていた。

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