第200話 旅望 -サワークリーム-

腰が痛い。

怪我人と思えないほど、明花が頑張ったからだ。

お互いに初めてだったのだけど。

僕の隣では、明花がむにゃむにゃと言いながら眠っている。

明花の柔肌が見えるとまた元気になってくる。

僕って、単純だな。

僕は、下着を履きパジャマを着る。

そして、自室を出た。


「まさか、明花があんなに激しいとは」


僕は、呟きながらキッチンに向かう。

時刻は、20時。

まだまだ、早い時間だ。

夕飯を作らないとな。

よく考えると、ティラミスの所為なんじゃないかとさえ思う。

さて、何作ろうかな。

なんだから、体力使ったし肉料理もいいけど。

あー、手抜きで焼肉にしようかな。

ホットプレートで、自分で焼くのもいいかも。

下拵えだけしよう。

とりあえず、野菜だな。

人参、茄子、玉葱、玉蜀黍、椎茸、獅子唐あたりかな。

輪切りで適当に切ってボウルに入れていく。

サンチェも用意しておこう。

一応、買っておいてよかった。

肉は、カルビとロースが冷蔵庫に入っていたな。

そして、ダイニングにホットプレートを用意する。

そうして、準備をしていると下着姿の明花がやってきた。

ピンクの布地に花をあしらった上下。

明花は、慌てて自室に入る。

少しするとパジャマを着てダイニングにやってきた。


「えっと…尚弥…あの」

「う、うん」


ダメだ、直視できない。

凄い恥ずかしい。

僕らは、お互いに顔を背ける。

明花は、顔を真っ赤にしている。

たぶん、僕も赤いかもしれない。

僕は、ご飯をよそって席に着く。

明花は、そのまま僕の隣に座る。


「えっとね…」

「大丈夫だよ。明花は、大丈夫?」

「うん」


彼女は、笑顔を浮かべた。

肉食獣みたいな雰囲気は無くなって、いつもの明花に戻っていた。

僕は、ホットプレートに野菜と肉を載せていく。


「焼肉だぁ。お肉、お肉」

「野菜も食べるんだよ」

「うん、もちろん。食べるよ」


そうだった。

明花は、野菜も好きだった。

じゃあ、僕が肉だけ…。


「尚弥も、お野菜食べるんだよ」

「う、うん」


バレた。

まあ、僕も別に野菜が嫌いなわけではないけど。

肉多めに焼こうかな。


「明花、調味料どうする?」

「なにがある?」

「えっと、塩胡椒、醤油、レモン汁、ポン酢、サワークリームかな」

「サワークリーム?」

「乳酸菌で発酵させてたクリームかな、ちょっと酸味のある感じだよ」


僕は、調味料を用意する。

サワークリームは、ティラミスを作るときに片手間に作っておいた。

明花が、少しサワークリームを箸で掬う。

そして、口に入れる。


「確かにちょっと酸っぱいね。でも、美味しい」


焼肉をサンチェとサワークリームで纏める。

うん、これはこれで美味しい。


「あ、私もそれする」


明花も、同じようにして食べる。

そして、美味しかったのかどんどん食べていく。

酸味がちょうど食欲を誘うよな。

僕らは、それから野菜もお肉も平らげるのだった。



-------------------------

最初は、焼肉肉肉と言うサブタイトルでしたが

サワークリームに変更しました。

ちょっと、直球過ぎたので




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る