第197話 旅望 -ティラミス2-

明花は、結局イチゴのティラミスを食べている。

その表情は、とても嬉しそうだ。

ティラミスは、どれもフィンガービスケットを作るところから始めた。

それを土台に使っている。

フィンガービスケットは、卵黄と卵白それぞれをグラニュー糖を加えて混ぜた物に、薄力粉を混ぜ合わせ、170度のオーブンで焼いたのように細長いビスケットのことである。

それを、ジップロックコンテナーに敷き詰めてベースとなる味付けをしている。

通常のティラミスは、エスプレッソに黒糖を混ぜ合わせて作ったコーヒーシロップ。

苺のティラミスは、イチゴジャムから作り、粒をしっかり潰した。

イチゴジャムは、多めに作った。

今度、食パンにつけようかな。

バナナティラミスは、バナナをフードプロセッサーにかけた。

ブルーベリーティラミスは、ブルーベリーシロップとブルーベリージャムを使用した。

オレンジティラミスは、オレンジシロップとマーマレードを使用している。

ベース部分は、木綿豆腐とマスカルポーネチーズ、豆乳を合わせてある。

通常のティラミスとブルーベリーは、トップにココアパウダーを掛けてある。

ただ、ブルーベリーはフレッシュブルーベリーを飾っている。

バナナと苺は、チョコレートを斜め掛けしている。

オレンジは、オレンジゼリーを掛けてある。

まあ、そう言うわけで明花が悩むのも分かる。


「あ!メッセージ来てた」

「そうなんだ」


僕は、明花の隣に腰を下ろす。

彼女は、スマホの画面を見せて来る。


美加『新藤くんのせいで、明花も謹慎なの!?』


僕は、それを見て苦笑する。

『新藤くん《ぼく》のせい』ね。


「まだ、昼休みだよね?なんで僕が謹慎って話になってるんだろうね…それに、榛村先生は療養だって言ってたのにさ」

「あはは、確かに。私って所がおかしいね」

「まあ、教室の状況だけで判断してだとしてもね」


犯人しか知り得ない情報。

相当に頭が悪いようだ。


「ここは、図星を衝くのは避けといたほうがいいかな。うーん」

「じゃあ、え?尚弥は違うけどってしとく?」

「ああ、なるほど。そう言うのもありだね」


あとで、スクショを母さんに送っておいた方がいいかな。

というか、もう詰んでるんじゃないだろうか。

興信所や探偵の真似事は、違法行為だ。

それに、監視カメラの内容からして不法侵入も試みようとしている。

まだ、その時には管理人は2人体制だったから無理だったが、今は6人体制。

モニタリングは、随時されている。

また、外部モニタリングも出来るようになっている。

その為、24時間体制でモニタリングしている。


「明花、スクショ撮って送ってもらえる?母さんに送っとくから」

「あ!それなら、私から送っておくよ」

「ん?母さんと連絡先交換したの?」

「うん、治療の事もあったから帰るときに教えてもらったの」


明花は、そう言いながら母さんにスクショを送ったようだった。

そして、彼女はティラミスを再び食べ始めた。




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