第193話 旅望 -砂糖菓子4-
僕達が呼び出されたのは、1限の予鈴が鳴る頃だった。
今は、会議室に来ている。
会議室には、母さん、彩夏さん、担任、教頭がいた。
「2人は、ご両家公認で一緒に住んでいると」
「はい、もちろん。部屋は、別々ですよ」
確かに、私室は別々だ。
最近は、一緒に寝てるけど。
そんなことは、言わぬが花だ。
「後日、家庭訪問をさせていただいても?」
「もちろんです。ただ、うちの従業員の社宅も兼ねていますので。
それでしたら、今からご覧になられますか?
今の状態で、この子達も勉強など出来ないでしょうし」
む、それはお昼の作戦が…まあ、長期戦だからいいか。
今回の美加さんへの復讐は、長期戦だ。
僕らが、仲良くしているのを見せつけるのが目的だ。
失恋で落ち込んでいる明花を見たかったんだろうがそうはさせない。
というよりも、隆志と言うクズ男と付き合う惨めさを味わうといい。
僕が、明花を幸せにする。
うーん、逆になってる気もするけど。
明花に幸せにしてもらってる。そんな気もするんだよね。
「そうですね、では家庭訪問をこれからさせていただきます」
急遽、家庭訪問をされることになった。
まあ、見られて困る物はないかな。
洗濯物くらいか。
「じゃあ、行きましょうか」
僕らは、教室で荷物を回収してから自宅マンションに戻ることになった。
車は、母さんの車だ。
担任が、あとからついてくる。
母さんは、彩夏さんと相乗りしてきたらしい。
僕らは、母さんの車に乗り込んだ。
そして、車が動き出す。
「尚弥、どういうことか説明してもらえる?」
母さんが、そう切り込んできた。
まあ、ここは包み隠さず説明することにする。
今回の首謀者が、明花の幼馴染みの美加さんであること。
学校に盗撮写真が匿名で送りつけられていたこと。
美加さんが、犯人である根拠。
「え?うちに美加ちゃんきてないわよ。
陽ちゃんに言われてたから明花の引っ越し先も教えてないし」
「それに、如月…ね。ほんと、あの家とは因縁があるわね。
そろそろ、この悪縁切りたいんだけど」
母さんが、小さくぼやく。
僕は、首を傾げるのだった。
「じゃあ、完全な証拠集めをしましょうか」
「陽ちゃん、乗り気?」
「この子達の未来をくっだらない嫉妬で邪魔されるのが嫌なだけよ」
「それは、確かに。徹底的にやっちゃおうか」
母さんたちが、やる気になってしまった。
まさに、ご愁傷様だな。
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