第152話 旅懐 -登壇-
僕は、職員会議が終わるまで職員室にあるソファで待たされることになった。
職員会議までの間に、学年主任や教頭、校長らに挨拶をした。
ほどなくして、職員会議が終わり担任だという榛村先生がやって来る。
「さあ、行こうか。
新藤くんのクラスは、『2-C』だよ」
「はい」
僕は、榛村先生について職員室を出た。
そして、3階へと階段を上がる。
「ああ、ホームルームが終わったら君たちは生徒指導室に行くからね」
なるほど、今日は顔見せ程度で終わるかもしれない。
階段を上り切り、左へと折れる。
そして、しばらく歩くと『2-C』のプレートが見えた。
「とりあえず、呼んだら入ってきて」
「わかりました」
僕は、廊下で待たされることに。
「日直号令」
「起立」
入り口のドアが閉まっているのに廊下まで声が漏れ聞こえる。
号令と共に、椅子が下がる音が聞こえる。
「礼」
『おはようございます』
「着席」
号令と共に、声が重なり、椅子にドカッと座る音が聞こえた。
「じゃあ、ホームルームを始める。
先ずは、お待ちかねの転入生だ。
入ってきていいぞ」
僕は、その声にドアをガラガラと開けて入る。
教室中の視線が集まるのを感じた。
女子が、きゃあきゃあ言ってるのが聞こえるし。
男子が、舌打ちしたのも聞こえている。
教卓の前に立つ。
榛村先生が、黒板に『新藤 尚弥』と書いている。
「本日付で転校してきました。新藤 尚弥です。
宜しくお願いします」
「ん?そんだけか?」
先生に、なぜかそう煽られる。
僕って、こういうの慣れてないから無理なんだって。
明花が、僕の顔を見てニコニコしている。
あ、楽しんでるな。
「しょうがないな。よし、新藤に質問があるやつ」
そう先生が皆に問いかける。
その問いに、女子達から質問が上がる。
「彼女は?」
僕は、明花を見ながら…。
「います」
明花の顔が、みるみる真っ赤になる。
そして、プイっと顔を背ける。
「どうして、こんな時期に転校を?」
「えっと…家庭の事情かな」
流石に全てを話すわけにはいかない。
というか、こんな風に興味本位で聴かれるのはいやだしな。
「他は…なさそうだな。
じゃあ、新藤の席は…秋山の横が空いてるな。
とりあえず、あそこの席だ…じゃあ、ホームルーム終わりにする。
挨拶はなしで良いからな。
で、秋山と新藤は付いてこい」
僕らは、先生に呼び出され生活指導室に呼ばれるのだった。
クラスメイト達は嬉々とした目で僕らを見送っていた。
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