第150話 旅懐 -登校3-

やがて、僕らは学校へと辿り着いた。

8時前に何とか辿り着く。

駐輪場へと案内され、駐輪すると僕はそのまま職員室まで明花に付き添ってもらった。

職員室は、二階にあった。

階段を上がってすぐの入り口。


「尚弥、ここが職員室だよ」

「ありがとう、明花」


僕は、職員室を覗く。

ノックは?と思うかもしれないが開けっ放しなのだから仕方ない。

そんな僕の視線に職員室の中にいた一人の女教師が気づく。

その教師は、僕の隣にいる明花にも視線が向いた。


「秋山!おまえ」

「げ、榛村先生」


明花は、とてもバツの悪い表情をする。

一瞬逃げようとしたがすぐに僕の袖をギュッと握り、逃げるのを諦めた。

そして、女教師…榛村先生?が僕らの方へとやってきた。


「おまえ、修学旅行からバックレるとかどういうつもりだ!」

「えっと…ごめんなさい」


明花は、すっかり僕の背中に隠れる。

まあ、仕方ない。


「…おっと、君は…ああ、今日転入してくる新藤くんかな?…秋山と知り合いなのか」

「あ、はい。新藤 尚弥です。

えっと…明花…秋山さんとは親同士の知り合いでして」

「なるほど…秋山。よかったな、彼とは同じクラスだぞ」

「本当ですか!やったぁ。よかったよぅ、尚弥」

「う、うん…」


なんだか、見透かされてるように感じるなぁ。

なんとなくだけど、関係性がばれたような気も。

いや、明花のこの様子を見ればバレバレか。


「じゃあ、秋山は教室いけな。

新藤は、私と一緒にいくから…まずは先生方に挨拶に行こうか」

「え…尚弥…その…また後で」


凄く残念そうになる明花。

でも、これは仕方ない。

僕は、彼女の頭をポンポンと触れる。

少しだけ、パッと笑顔が戻った。

そして、明花は後ろにある階段を上がっていった。


「なんだ…お前ら付き合ってるのか?」

「え…はぁ、まあわかりますよね。

親同士の意向で昨日から一緒に住んでます」

「…ああ、例の幼馴染みくんが新藤なのか」

「違いますよ!そんなクズと一緒にしないでください」


僕の口調が荒くなる。

つい大声になってしまった。

やば、何しているんだ僕は。


「ほぅ、新藤はだいぶ詳しいようだな…」

「あ!」


僕の失言で、その後の運命が決まる瞬間だった。

面倒な一日の始まりだ。


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