第77話 旅先 -鈍行-

僕らは、JRのホームで電車を待った。

僕のスーツケースの上に秋山さんのドラムバッグを置いている。


「秋山さんは、ドラムバッグなんだね」

「うん、部活の合宿にもっていくバッグなの」

「合宿?そっか、運動部だとそう言うのあるんだね」

「そうだよ…新藤くんは今まで部活には入ったことなかったの?」

「部活…瀬里の世話で忙しくて入ったことなかったな」

「瀬里?」

「ああ、幼馴染みだったやつ」


そう言えば、瀬里ってどうなったんだっけ?

うーん、もう覚えたないな。

聞いた気はするけど、もう関わりたくないし。


「すっごい、嫌な顔したね。ごめんね、この話はここまでにしとくよ」

「ああ、ごめんね。気を使わせて」

「ううん、そんなことないよ。あ、電車来たよ」


話をしていたらホールにアナウンスが流れた。


『JR東海道本線をご利用くださいましてありがとうございます。

まもなく、2番線に米原行きの列車が到着します。

安全柵の内側までお下がりください』


プラットホームにきてからそんなに時間は経っていなかった。

10分くらいだろうか。

22時台だというのに結構な本数があるが、米原までは少ない。

ほとんどが快速や新快速だった。

大体1時間くらいで着くみたいだ。

それから、ホテル探さなきゃなんだけど…。

そう考えるとホームに電車がやって来る。

僕らは、停車した電車に乗る。

流石に、時間的に空いている。

隣り合わせに座る。

なんだか、気恥ずかしくなってくる。

やがて、ドアが閉まり走り始めた。


『本日もJR東海道本線をご利用くださいましてありがとうございます。

この電車は、快速 米原行きです。

途中の停車駅は、山科、大津、石山、南草津、草津、守山、野洲、近江八幡、能登川、彦根です』


そう、アナウンスが続く。

ふぁぁと小さな欠伸が隣から聞こえてきた。

秋山さんの眠気が限界みたいだ。

しばらくすると、僕の肩に重みが乗っかる。


「お休み、秋山さん」


僕は、そう小さくつぶやいた。

そして、スマホを確認する。

連絡は、母さんから入っている。

母『今日の行先は、米原?』

そうメッセージが入っていた。

尚弥『うん、いま電車に乗ったとこ』

母『じゃあ、米原でホテル予約しておくわ。今日は、ビジネスホテルになるとは思うけど』

尚弥『ありがとう、助かるよ…あ、二部屋お願い』

母『え?二部屋?』

尚弥『えっと、僕と同じように修学旅行早退した子がいてさ』

母『そう…分かったわ』


母さんに、秋山さんの事説明していなかったことに気づいてしまった。

危ない、同室は流石にまずい。

僕は、隣から聞こえる小さな寝息に心臓の鼓動が早くなっていくのを感じた。

はぁ、あんなことがあったばかりなのに。

傷ついたときに優しくされるとってやつかな。

僕は、落ち着かない心を保つために結局米原まで寝ることもなく過ごした。


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長いこと電車に乗らないからアナウンス聞いたことないんですよね。

予測で書いてます。

間違ってるかもなのでご了承ください。

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