第34話 旅愁2 -伊勢-
次の日は、伊勢へと向かったんだ。
距離としては、57km。
なかなかの距離だった。
少しずつ走る距離が伸びていた。
海沿いを走り、海風を感じながら伊勢に向かった。
まあ、海沿いだったのは松坂までだったかな。
鈴鹿から松坂までがおおよそ40kmだからほとんどが海沿いだったけどね。
朝から、鈴鹿を出て松坂に着いたのがお昼過ぎくらいだったかな。
ちょうどお昼時だったから、松坂牛のハンバーガーを食べたんだ。
あれは、もう絶品だったよ。
思い出しただけで涎が・・・。
おっと、ごめんごめん。
その後、伊勢に着いたのは16時前だったかな。
僕は、天気も微妙だったからビジネスホテルを取ってチェックインを済ませると伊勢神宮の外宮に行くことにしたんだ。
伊勢に来たら行ってみたかったんだよね。
朱色ではない鳥居って初めて見た気がするよ。
入り口の木の橋を渡って、僕は正宮へ向かった。
敷地内は、とても静かで心が落ち着く気がした。
その後は、多賀宮、土宮、風宮をお参りしてホテルに戻って来たんだ。
あれ?ダメだ。
行ったはずなのにうまく思い出せないや。
うーん、なんでだろう。
えっと、次の日は朝から内宮に行った。
大きな鳥居を潜り、橋を渡るとまた空気が変わったんだ。
別世界のような空気を感じた。
階段を上り、正宮へ着く。
心に衝撃を受けた気がした。
僕は、たぶんこの時にあいつへの呪縛が解かれたんだと思う。
心が現れたんだと今では思うんだ。
気が付くと、僕は数時間内宮をお参りしていた。
時間を忘れて。
その後は、熊野古道に向かって走り出した。
◇
「伊勢神宮かぁ、いいなぁ。
私も行ってみたい」
「じゃあ、さっきの話に追加の旅程にしようか」
「はい」
未桜は、笑顔で答えた。
しばらくすると、彼女が首を傾げ始める。
「ねえ、尚弥くん」
「なに?」
「7月の終わりって確か」
未桜が何を言おうとしたかすぐに理解した。
ここからが、背中の傷の話になるから。
「うん、紀伊半島の台風の事だね」
そして、僕は再び話し始める。
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