第30話 報復 -追跡-
母さんと未桜が、抱き合っているのを横目で見ていると刑事さんが、GPS捜査を始めたらしい。
それからは、早かった。
前嶋さんが、逃亡を始めて3時間も経たないくらいだろうか、夕方16時を回ろうとした頃。
GPSが動かなくなった。
電源は入っているが、動かない。
それは、スマホを放置したか、もしくは休憩を始めたか。
「それは、どこなんですか?」
「そうですね・・・ん?ここは」
刑事さんは、現在地を確認して驚いていた。
その反応に、僕は気づいた。
今の彼女が、長時間休める場所。
自宅もしくはその隣家である僕の自宅だろう。
僕は、ソファから立ち上がる。
「尚弥くん?」
「決着を付けに行こうかなって」
「私も行く」
「じゃあ、全員で行きましょうか」
僕らは、その後刑事さんを伴い5人で自宅へ向かうことにした。
ただ、向かうのは徒歩でだ。
車で戻ろうとするとエンジン音で事前にバレてしまうかもしれないから。
まあ、この人数でゾロゾロ歩くのもなかなか目立つ気がする。
僕らは、少しずつ離れて歩く事にした。
先頭は、僕と未桜。
一番後ろに刑事さんという感じに。
未桜は、すっかり僕にべったりくっ付いてきていた。
ドキドキする。
でも、嬉しかった。
彼女とこうして歩けるのは嬉しい。
だって、僕は未桜のことが好きだから。
「ねえ、未桜。どうしたらいいと思う?」
「うーん、私にもわからないけど」
決着を付けに行くと言ってもどう決着を付けるべきか悩んでる。
僕は、歩きながら悩み続けた。
結局、自宅に着くまでそれは続いた。
でも、横ではニコニコしながら未桜が僕の手を握って僕の顔を眺めていた。
それだけで、僕は幸せな気分になった。
そして、自宅の門塀を潜ろうとした時。
塀の横から何かが駆け寄ってくるのが見えた。
僕は咄嗟に未桜を背中に庇う。
腹部に、痛みが広がった。
僕の眼前には、両手を真っ赤に染めた前嶋 瀬里が立っていた。
「うふふ、やった。
やってやったわ、うふふ。あはははは」
その目は、虚ろで狂気じみていた。
僕の意識が、少しずつ薄れていく。
そして、地面に倒れ込んだ。
僕が最後に見たのは、大粒の涙を浮かべる未桜の顔だった。
ごめん、未桜・・・。
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次回、第2章最終話
報復 -末路-
ちなみに、どの隊列でも尚弥は必ず刺されます
1番後ろだと後ろから刺されてDeadEND
真ん中だと横から刺されてDeadENDになります
1番前が致命傷を免れる最善です
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