第28話 報復 -逃亡(瀬里)-

どうして、こんなことになったの?


私が何したっていうのよ。


狂い始めたのは、尚弥の事をフッてからだ。


あの日の午後から私の日常は大きく崩れた。


あいつが、突如いなくなったおかげでATMが無くなったから。


たかがフラれたくらいでいなくなるとかありえないわ。


あいつなぜかお金たくさん持ってるのよね。


毎日財布の中にはお札が入っているから1、2枚くすねてた。


おかげで、その日の午後には財布の中身はなくなっていた。


猛とデートしたかったのに。


ホント、金欠で辛かった。


で、猛に相談したらなら尚弥のバイト先で『ツケ払いで食べれば』って言われた。


確かにそれは使えると思ってあいつがいない間通い詰めた。


いつ尚弥が戻ってきてもいいように。


帰ってきたらお金貰わないと。


こんだけ、迷惑かけたんだからいつもより多く貰わないと割に合わない。


そう思っていた。


1週間が経ってやっと電話がつながったと思えば尚弥のやつに着拒された。


ホント、ありえない。


ムカつくから、ファミレスでパーティーしてやった。


猛のアパートには、毎日のように行っていた。


今も、アパートに向かってる。


昨日来ていた服のままだけど、今は仕方ないよね。


まさか、目の前で親父が捕まるとは思わなかった。


「イタッ」


私は盛大にこけた。


もう、何度こけたかわからない。


両膝からは血が流れていた。


ヒールは、踵が折れている。


歩きづらい。


もう、脱いで歩いたほうが幾分か歩きやすいかも。


猛のアパートに行けば、予備の靴くらい置いてあるし。


私は、ヒールを履き捨てて歩き始める。


病院を抜け出して1時間。


私はやっと猛のアパートに辿り着いた。


「え、どうして」


アパートは、立ち入り禁止のテープが張られていた。


猛が捕まった?


やばい、ここにいたら見つかる。


私は、走り始めた。


足が痛い。


足の裏が、切れたみたい。


どうして、こんなことになったのよ。


尚弥の所為だ。


慰謝料払わせてやる。


私の日常を返せ、バカ。


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次回、報復 -監視の目-(未桜視点)になります。


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