第24話 復讐 -記憶喪失-
九鬼 猛が、そのあと通報で来た警察官にパトカーへ乗せられていてから数時間後。
事情聴取が長引き、僕は自宅に帰ったのは22時を回ろうとする頃だった。
この日の夕方。
3か所目となる九鬼組の家宅捜索が執り行われた。
それも、九鬼 猛が捕まった後の事だ。
どうやら、彼が捕まることは計画に含まれていたらしい。
僕は、その日ベッドに倒れ込むように眠るのだった。
翌朝、僕のスマホがけたたましい音を鳴らして目を覚ますことになる。
スマホのディスプレイには、「前嶋 おじさん」の文字が表示されていた。
前嶋のおじさん・・・要は、前嶋 瀬里の父親の事だ。
着拒にするの忘れていた。
僕は、しぶしぶその電話に出ることにした。
「はい、もしもし」
「尚弥、今すぐ病院に来い」
「嫌です」
「来いっていてんだろうが」
「はぁ・・・」
この人は、こういう人だ。
たぶん、この人の性格があいつの性格を形作ったのだろう。
「お前の所為で、瀬里が記憶喪失になったんだ」
「そうですか、よかったですね」
「ふざけてんのか、てめぇ」
「ふざけてるのはおまえだろうが」
僕は、たまらず悪態を吐く。
めんどくさい。
記憶喪失ならもう僕の事なんて忘れてるだろうに。
「瀬里が、お前を呼んでるんだ」
「はぁ?」
「小学生以前の記憶しかなんだぞ」
都合のいい記憶喪失だな。
全部消えればいいのに。
「それで?なんて呼んでるんですか」
「尚弥はどこ?尚弥を呼んで!とずっと言ってる」
「尚弥って呼んでるんですね・・・じゃあ、後で行きますよ」
僕は、そう言って電話を切った。
途中から笑いを堪えるのが辛かった。
「あははは、あいつらバカだろ。
設定がガバガバなんだよ。
小学生以前って自分で言ったのに」
僕は、それからしばらくお腹を抱えて笑い続けた。
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次回、後半戦【報復】編突入
報復 -未桜の傷-へ
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