第22話 復讐 -襲撃-
半グレ集団は、一網打尽にされ警察官に逮捕されて、前嶋さんは救急車で警察病院へと移送された。
僕は、事務所へと戻ってきている。
今日の業務は、これ以上行うのは無理だろうとのことでスポーツジムもファミレスも早終いになった。
その為、事務所には親族全員が集まっていた。
親族・・・僕の両親と間藤の叔父さん夫婦、父さんの弟である伯父さん夫婦の6人である。
間藤の叔父さんの所には、娘が二人。
新藤の叔父さんの所には、息子と娘が一人ずついるがそちらは安全に考慮してここにはいない。
未桜は、先程父さんが送っていってくれたので今はいない。
その代わりに、スーツを着た男性刑事がいる。
「では、情報も落ち着いて来たので経過をお伝えします」
刑事は、スマホで先程まで電話をしていた。
「今回新藤湊様からご相談いただいていた「赤い蠍」を名乗る半ぐれ集団の件ですが、一部主犯格である男がまだ捕まっていないようです。
実は、こことは別に彼らのアジトにも踏みいったのですが取り逃がしたようです」
湊と言うのが母さんの名前だ。
どうやら、警察と計画していたようだ。
「直前に新たな証拠の提出をしてしまってすいませんでした」
母さんが、刑事に謝る。
直前の証拠?
未桜が、母さん渡したものだろうか。
「いえいえ、あちらの証拠があればこちらも裏付けがしやすい。
それに、彼らのアジトからは覚醒剤を大量に押収できています。
それに、ひと月もお時間を戴いてしまいました。
こちらこそ、申し訳ありません」
ひと月?
もしかして、計画されていたのかな?
「では、私はこれでまた後日報告に参ります」
「はい、今日はありがとうございました」
刑事はそう告げると帰っていった。
少しして、僕は口を開く。
「ねえ、母さん。計画してたの?」
「そうよ、貴方ならきっと学校帰りに来るだろうことも予想できていたし。
私としては、もう
予想外だったのは、未桜ちゃんね。
しっかりしたいい子に尚弥が出会ってくれてよかったわ」
どうやら、僕は母さんの掌の上で転がされていたみたいだ。
それにしてもどこまで計算されていたのだろう。
「どこまで?って顔をしてるわね。
そうね、あれはそう連日でツケ払いと言い出した頃からだから7月の終わり頃からかしらね。
大人数で飲み食いをしてお金払わないのだから。
それに、その時に接客した子に強引に迫る子がいたりしたから警察に相談していたのよ。
でも、背景に闇社会とかも絡んでいたからちょっと準備に時間が掛かってね」
闇社会?え、なにそれ怖い。
そっか、覚醒剤がどうのって刑事が言ってたな。
「それに、リーダー格の子がヤクザの息子らしいのね。
その子が、
「そんなのと付き合ってたのか、知らなかった」
「未桜ちゃんから貰った写真と文書データでもっといろいろ分かったからゴミ箱に捨てられるわ」
母さんが、とても黒い笑みを浮かべていた。
それをみて、親族がドン引きしている。
「さて、僕はそろそろ帰るよ」
「分かったわ、私達は後片付けをして帰るから気を付けて帰りなさいね」
僕は、そう言って事務所を後にする。
通路を出て、非常口に辿り着き扉を開けた時だった。
バリーンとガラスが割れる音がする。
僕は、周囲を見渡す。
割れたガラスの窓から人が入ろうとしていた。
逆髪の金髪で両耳にいくつもピアスをした男性。
服は、凄い派手目なシャツを着ていた。
「おい、おまえ」
とても低い声が耳に刺さる。
底冷えするくらいに低い声だった。
「瀬里はどこだ!!」
「あの
「あぁ??」
男の眉間に皺が寄るのが分かった。
そして、彼は僕に近づいて来た。
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次回、復讐 -タイマン-に続きます。
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