第19話 復讐 -ファミレス-
「え!?尚弥くんの家が経営してるの?」
大きな声を上げて、驚く声を上げた未桜。
両親や親戚が、スポーツジムやファミレスを一族経営していることを彼女に告げたとこだった。
「そうだよ、僕もだからおこぼれでバイトさせてもらってるんだよ」
「おこぼれ?うーん、尚弥くんっていつもバイトしてたよね?
それって、体のいい人手に使われてるような」
「え?そんなことないよ。
ほらほら、いこういこう。
僕、カラオケでドリンクしか飲んでなかったからお腹空いちゃったよ」
僕は、未桜の手を引いて歩を進める。
やがて、見慣れたバイト先のファミレスが見えてきた。
マッスルボディなキャラクターが描かれた看板が出迎えた。
「私、このキャラクターがちょっと苦手で来たことなかったんだよね」
「あはは、そうだよね。キャラクターは可愛くないよね。
でも、料理は普通だから安心してよ」
「そうなんだ、私もお腹ペコペコだよ。楽しみ」
僕らは、自動ドアを潜り店内へと入っていく。
「「いらっしゃいませ」」と大きな声が出迎えた。
未桜の肩がビクっとなる。
「大丈夫?」
「うん、びっくりしちゃった」
まあ、初めてだと驚くよね。
居酒屋みたいなノリだし。
「お、尚弥!」
「叔父さん」
母さんの弟の間藤 誠二さん。
見た目は、細身だが腕は筋が浮くほど筋肉がついている。
「なるほどなるほど、姉さんに似ているからか細マッチョになってるな。お帰り、尚弥」
「ただいま、叔父さん。
あ、未桜。ごめん、放置しちゃって」
隣で僕と叔父さんを交互に眺めていた彼女に声を掛けた。
びっくりしていたが、すぐに首を横に振る。
「ううん、いいよ。久し振りに会うんだし」
「珍しいね、尚弥が瀬里ちゃん以外の女の子と来るのは」
「前嶋さんとはもう付き合うことはないから」
叔父さんは、奥の席の方へ視線を向けた。
僕もそっちの方を向く。
会いたくない奴が座っていた。
「じゃあ、あの子は出禁でいいのかな?
割と営業妨害だし、尚弥のツケで8月ずっと食べてたんだけど」
彼女の席には、他にも4人ほどの男女が座っていた。
見たこともない人達だ。
「それよりも警察に突き出そうよ」
「尚弥、とりあえずジムの事務所へ行ってきなよ」
「ああ、そうだね。未桜、ごめん。ついてきてくれる」
「う、うん」
そう言って、僕は未桜を連れてスポーツジム側の事務所へ向かう。
スポーツジムとファミレスは自動ドア1枚を隔てて繋がっている。
事務所は、1階にある。
ただ、入り組んだところにあるから初見では絶対に辿り着くことはできない。
ファミレスからスポーツジムに入ってすぐにあるスタッフオンリーのドアを開けて入る。
そこからは、2人で並んでやっと歩けるくらいの細い通路が続いている。
「尚弥くん、私スタッフじゃないけど通っていいの?」
「僕と一緒なら大丈夫だよ」
そして、通路は突き当りになり左に通路が繋がっている。
そこをしばらく歩くと右手に扉が見えてきた。
ここが、事務所だ。
今入ってきた通路は、事務所に直通の通路になっている。
通路は、まだ先に繋がっている。
この先は、スタッフ用の更衣室やシャワー室に繋がっている。
僕は、事務所のドアをコンコンコンコンとノックする。
「はい」と小さな声が聞こえる。
そして、ドアを開けて事務所に入っていく。
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