第9話 初旅 -好奇-

僕が、席に着くと教室中は視線を向けた。


そして、話し声が増える。


が、すぐに担任が入室してきた。


「ん?おまえ、新藤か?」


「はい、先生」


「おいおい、夏休みの間に凄い変わったものだな」


「ちょっといろいろありまして」


僕は、入室すぐ担任に声を掛けられた。


それだけ、気になるほど姿が変わっていたのだろうか?


「じゃあ、ホームルームを始める。

来週からは通常授業になる。

初回に夏休みの宿題は回収するからな。

課題終わってない奴は土日に頑張る様に。

ダラダラやっても、これが終われば放課後だ。

連絡は以上だ」


担任は、それを告げて退室していった。


彼は、だらけるときにはだらけるすごいメリハリがはっきりした先生だ。


まあ、そのおかげで放課後が早く来たのだからいいだろう。


僕は、登校してきただけだが。


さて、放課後は何をしようかな。


そう考えていると、僕の周りにはクラスメイト達が人垣を作っていた。


あ、これはすぐ帰れない奴だ。


「おい、新藤。

お前になにがあったんだ?」


最初に声を掛けてきたのは、確か運動部の・・・あ、名前知らないや。


というか、クラスメイトの名前が全然わからない。


「終業式にフラれてね、失恋自転車旅行に行ってきたんだよ」


「なんだそれ、新藤。

これから、カラオケでもいって話聞かせてくれよ」


「え、いいよ。

そんな面白い話はないけど」


「たまには、付き合えって」


そう言って、僕はクラスの男子たちに肩を抱かれ連れていかれる。


その後ろには、女子たちも付いてきていた。


その中に、瀬里の姿もあった。


「あ、前嶋さんが来るなら僕はやめとくよ」


そう僕が言うと、全員の視線は瀬里に注がれる。


彼女は、キョドる。


「え、なんで?」


「なんでって。理由は自分で知ってるでしょ」


僕は、そのまま男子たちに連行される。


後ろの方で、瀬里が呆然と立ち尽くしていた。

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