第3話 初旅 -校門前-

やがて、高校の校門へと辿り着いた。


時間は、まだ余裕があるが登校時間のピークの為か人が多い。


僕を見る視線がとても痛い。


やがて、そこに見知った顔を見つけた。が、ある意味ではとても会いたくない人物。


茶髪の女子・・・瀬里だった。


僕からは、声を掛けるべきではないと思い視線を一瞬向けたがすぐに外した。


やがて、辺りからひそひそ声がする。


なんだか、やな感じだ。


僕は、さっさと昇降口に向かい下足を履き替える。


そんな、僕の行動を背後から覗く視線。


瀬里からの物だった。


僕は、視線をもう一度向ける。


彼女はとても驚いていた。


何をそんなに驚くことがあるのだろう。


僕は、みんなの視線に嫌気が差し教室へは向かわず人気の少なそうな屋上へと足を向けた。


屋上でも、さらに人目が避けられそうな給水塔の蔭へと潜むことにした。


なんだか、今日は居心地が悪い。


このまま、始業式まで昼寝でもしていようかな。


僕は、スマホを取り出しアラームを掛ける。


着信自体はサイレントにしておいた。


ぼーっと、空を眺める。


雲一つない青空。


今日も暑くなりそうだな。


そんなことを考えていると誰かが上がってくるのが見えた。


階段とは反対側にいるから向こう側からはこちらは見ることができない。


でも、上がってくればいることはバレるだろう。


どうしたものか。

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