イヤホンで会えたのなら。
@cha0so7
すれ違い
物語の最後に「意味が分からなかった」という方のために解説を載せて起きます。是非是非最後まで見ていってください!
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もし自分の目が見えなかったら、と想像することはありますか?
実際、私は生まれつき目が見えませんでした。目が見えないということは、ほとんどの娯楽ができません。ゲーム、鬼ごっこ、などなど私には『遊び』という概念が殆どありませんでした。
だけど、自分の耳だけで情景が思い浮かぶことがあったら。自分の耳だけで完結する娯楽があったら。
だからこそ私は音楽という娯楽が何よりも大好きです。けれど私には音楽と同じくらい大好きな彼氏がいます。顔は分かりません。どんなファッションスタイルや髪型をしているかも分かりません。
でも、私は彼の持つ内面というものに引かれていました。告白をしたのは私からです。彼からも「好きだった」と言ってくれ、私たちは恋人というものになりました。今日でようやく付き合って2か月となりました。
けれど最近彼氏の様子がおかしいのです。私は「彼に愛想を尽かされているのではないか?」と思い、「彼が自分のことを好いてくれているのか。」を確かめることにしました。
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ここから主人公の一人称視点です。
私に対して彼がよそよそしいので、私はわざと別れ話を切り出すことにしました。彼がまだ私を好きなのであれば、「考え直してくれ。」と言ってくれるのではないか。と。
私は彼を呼び出します。ここで言うつもりです。
「ねぇ、紫苑くん。」
「何ー?」
「あのね」
「うん」
彼は私の話にきちんと相槌を打ってくれます。私は彼のこういう所に引かれたのです。辛いですが私は続きを切り出します。
「紫苑君は最近冷たいです。なので私と別れてください」
私は言ってしまいました。これで彼も別れたいと思っていたのなら、私は一晩中泣いてしまいます。それ程彼のことが好きなのです。
「っごめん!考え直してくれ!」
よそよそしかったことについては、何も説明してくれません。私は彼を追及します。
「じゃあ何で最近よそよそしかったのですか?」
彼は間髪入れずにこう答えます。
「里奈の誕生日が今日だったから、プレゼントを渡そうと緊張していた。ごめん!」
そうでした。今日は私の誕生日でした。私は目が見えず、友達などもいませんでした。祝ってくれた記憶が一度もありません。私にとって誕生日は普通の日とあまり変わらないものでした。
彼が誕生日にプレゼントを渡してくれると聞いたとき、私は涙がこぼれそうでした。私は理解します。生まれてから初めて誕生日とはこういうものなんだと。
彼の誕生日プレゼントはイヤホンでした。彼は私が音楽というものが大好きだと知っています。だからこそ、私を思っていてくれたんだなと、私は感謝と好きという気持ちで、心が一杯でした。
それから、私たちはイヤホンの片耳は私、もう1つは彼という形で同じ音楽を聞きました。この時間が何よりも好きで、ずっと続いて欲しいものでした。
それから12時程になって、私たちは就寝します。もちろん同じベッドでです
私はこの時間がずっと続けばいいのに。そう願いながら意識を落とします。
――――それから彼は変わってしまいました。
私は目が見えません。だから外出するときやご飯を食べる時には介護が必要です。彼は私に介護をしてくれなくなりました。私は原因を探りました。1つだけ原因っぽいものがありました。それは―――
私の誕生日で私が別れを切り出した時には、本当のことを彼に伝えていませんでした。私は本当のことを彼に伝えていませんでした。私が愛想を尽かしたと思い、彼は怒っているのではないかと。
だから、私は彼に謝ります。ただ彼は私に見向きもしません。私が謝るけれど私の方を一秒でも見ませんし、何も言葉を発しません。
だから、私は彼がイヤホンで音楽を聞いているときに、片耳を許可もなく、私の耳にはめ込みます。音楽が聞こえてきます。
彼は最初気づいていませんでした。途中で、違和感を感じたのか、私の方を見向きします。
私はやっと大好きな彼が私のことを見てくれたんだと嬉しくなりました。私は嬉しくて笑みをこぼしてしまいます。
それを見て彼は少しだけ青ざめます。勝手にイヤホンをとったことをびっくり
したのでしょう。
彼は私を見てこうつぶやきます。
「ごめん!許してくれ!!」
私はまたもや笑みをこぼしてしまいます。私にそっけない態度をとっていた大好きか彼が謝ってくれたのだと。
それを見て、私は言います。
「紫苑君のためなら許すよ」
嬉しくてたまりません。大好きな彼が私を見向きしてくれたんだと。
私はもう一度笑みこぼしながら言います。
「ずぅっとずっと一緒だよっ!!」
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解説
どうだったでしょうか?最後はヤンデレ化してしまいました。
彼氏と彼女は相思相愛ですし、思い合っています。
ただ、そこにはすれ違いというものがあり、この作品はすれ違いをテーマにしています。
彼女は「自分のことを愛してくれているのか」という疑問について答えると、彼氏は彼女のことを大好きなんです。ただそこに彼氏の勘違いがあるわけ何です。
別れ話をしたとき、本当のことを彼女は伝えていませんでした。彼氏からすれば、「自分は彼女に愛想を尽かしてしまった」と思うわけです。
「自分のものだったのに他人のものになってしまうと、取り戻したくなる」
という人間の深層心理があります。彼氏はそれを彼女に見立てしまったわけですね!
本文には――それから彼は変わってしまった。とありますが、それが本当は彼女が変わってしまったからとしたら……。
見えてくるものがあるはずです。
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ここまで読んでくださりありがとうございます!
元々恋愛をテーマにするつもりだったのですが、
ちょっとだけホラー路線にいってしました。
自分的にはこれも1つの恋愛?かなと
思っていますので、ご容赦ください(笑)
イヤホンで会えたのなら。 @cha0so7
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