うたをうたおう

勝利だギューちゃん

第1話

僕は、音痴だ。

とても、音痴だ。


だから、音楽の授業は嫌いだ。

憂鬱だ。

音楽ではなく、音学だな。


詐欺だと思う。


そんなわけで、カラオケは嫌いだ。

もう随分と言っていない。


でも、時には歌いたくもなる。

しかし、何を歌おう。


でも、何の因果かのど自慢大会出る事になった。

予選で落ちると思っていたが、受かった。

良し悪しだけで、決まるわけではないらしい。


そして、当日。

流行りの歌を歌う気にはなれない。

アニソンは、笑いものになる。

(まだいるんだね、偏見持っている人)

童謡は同様に動揺する。


スタッフの方に言われた。

「予選の時のあの歌を唄ってください」

「あれですか?」

「ええ、だからその服で来てもらいました」

「・・・そう・・・」


そういうことか・・・


さてと、そろそろ出番だ。

この歌を、(冷やかしで来ているだろう)会場の君に捧げる。


「5番、近鉄バファローズの歌」


短いので、歌終わってから、鐘が鳴った。

満点だった。


「お名前をどうぞ」

「〇〇です」

「どうしてこの曲を?」

「会場に、冷やかしで来ているクラスメイトに捧げました」

「なぜ?」


『日本シリーズで会おう』


・・・


「これが、父さんと母さんの馴れ初めだ」

「ええ、ステージからのお父さんの挑戦受け取ったわ」


子供からの質問にそう答えた。


「はは・・・公共の電波でのプロポーズだったのね」

僕は、両親の馴れ初めに苦笑いするしかなかった。


父さんは、服装でオーディションに受かったと言っていた。

ということは、ユニホームだったのか?

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うたをうたおう 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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