第3話 メッチャヤバイワー

 ところ変わって宿の一室。


「ハァ……ハァ……」


「あのぉ、大丈夫ですか?」


「あ、はい……勇者様と1つになれて……私、嬉しいです……」


 ベッドの上で全裸の街娘さんが息切れになりながらも、私の首元に腕を回しながらキスしてきた。


 結構柔らかいし良い香りもするんだけど、それ以上に後悔しか出んぞ。

 セレナさんの時みたく私が襲われる形になったとはいえ、5人もヤッてしまうとは。

 

 そもそも一度に数人と『おせっせ』とか、学校にいたレズの女の子でもやらんだろ。


 よく私、体力が持ったな。

 しかもそれを最後まで完遂するとか事なかれ主義すぎだろ。もっと自分の意志を持つべきじゃね?


 もしかしてアレかな?

 私、自分でノンケだと思っていたんだけど、実はレズの素質があったとか?


 うーん、ショックはそんなに出んな。

 割りと女の子って同性に惚れる事もあるし、その延長と思えば納得できるけど。



≪『百合百合レベルアップ』発動します≫



 またこのスキルか。

 ステータスも出てきた事だし、一応確認してみるか。


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 穂波怜 レベル:1京


 職業:女勇者


 身体能力:もう測定する事自体が罪 攻撃力:果てしなくヤバい 防御力:伏して拝むがいい 魔法力:我が魔法力は世界一ィィィ!!


 属性:火 水 風 土 雷 光 闇 全


 魔法:『聖剣メッチャヤバイワー 属性:光』『サラマンダーヨリズット速イ!! 属性:風』『闇ニ抱カレテ消エロ!! 属性:闇』『コレカラ毎日敵ヲ焼コウゼ? 属性:火』


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 レベルが1京って。

 確か京って兆の次だよね? インフレしすぎて乾いた笑みしか出ないわ。


 それと新しい魔法が追加されたみたいけど、これから毎日焼こうぜってチャージ〇ンか。

 もう私自身が怖くなったわー、ホントヤバイわー。


 とまぁ、ツッコミすぎて疲れちゃったせいか、そのまま寝落ちしてしまった私。

 明け方になったところで出発しようとしたら、服を着た街娘さん達に艶めかしく絡まれてしまった。


「勇者様、もう行かれるんですか?」


「少し早くないですか? この際、魔龍退治はやめてアタシ達と暮らしましょうよ」


「そういう訳にはいかないんですよねぇ。早く行かないと被害が広がりますし」


「残念です……でしたら事が終わったらまた寄って下さい。うんとサービスします♡」


 私の腕に街娘さんが抱き付いてくるので、パイオツの感触がこれでもかと感じられる。

 さっきヤッていて思ったけど、私よりも大きくて羨ましいわ。


 とにかく街娘さん達に見送られた後、私は外に出て『サラマンダーヨリズットハヤイ!!』を唱えた。



≪これより魔龍エンペラーヒドラの本拠地に向かいます。衝撃に備えて下さい≫


 

 えっ、もう本拠地? いよいよ本丸突入かいな。

 

 スキルによる超高速飛行してから数秒後、私の前に禍々しい城が見えてきた。

 もう着いちゃったのか、何か肩透かしだな……って、このままじゃ城壁にぶつか……、


 ──ドオオオオオオンンン!!!


「な、何だ!!?」


「敵襲!! 敵襲だぁ!!」


 いっけね、壁壊して突入しちゃった。

 でもってリザードマン達が集まってきちゃった。


「1人で襲撃してくるとは! 身の程を……」


「『コレカラ毎日敵ヲ焼コウゼ?』」


「ギャアアアアアア!! アヂイイイイイイイ!!」


「まだ最後まで言ってないのにイイイイイイイイ!!」


 私が魔法を唱えた瞬間、リザードマンの群れがパイロキネシスよろしく燃え上がってしまった。

 

 まぁ……運が悪かったって事で。

 連中が美味しく焼かれている間に先に進んでいくと、前方から大きな足音が聞こえてくる。


「ブフォオ!! 侵入者を排除する!!」


 ミノタウロスだ。

 とりあえず以前から気になっていたやつを出してみるか。


「『聖剣メッチャヤバイワー』」

 

 私の手元に光り輝くエネルギーの剣が出現した。

 なるほど、聖剣の名に相応しく光が部屋全体に……、


「ブフアアアアアアア!!」


 って、ミノタウロスが光の余波で消滅しちゃったよ。

 私、メッチャヤバイワーを出した事以外何もしてませんが?


 ……なるほど、これがこの聖剣の力という事か。

 確かにこれはメッチャヤバイワー……なんつって。


 敵がいなくなったところで、私は奥へ奥へと突き進んだ。

 そして目の前に、王室のと思われる扉が見えてくる。


「失礼しまーす」


 巨大な扉を押したらスムーズに開いた。

 これもレベルが1京あるおかげかな?


 と、その時だった。


「キャアアアアア!!」


 目の前から人が飛ばされてきたではないか。

 私が咄嗟にその人を受け止めた途端、笑い声が響き渡る。


「グハハハハハハ!! 人間の女がこの魔龍エンペラーヒドラに敵うとでも思ったか!! 身の程を知るがいい!!」


 青黒い体色をした某特撮の三つ首怪獣が、前方にいたのだ。

 

 いや、マジでそれっぽい姿をしていますがな。

 一応、翼の付け根に両腕があるのが某三つ首怪獣と違うところか。


 にしても吹き飛ばされた人は一体何者なんだろう……。


 その顔を覗いてみると、我ながらハッとしてしまった。


「君、同じテニス部の加東菜月かとうなつきちゃん?」


「えっ……も、もしかして……怜先輩!?」


 これは驚いた。

 何と自分の後輩がこの場にいたのだ。

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