第55話 未来を……
私は最近になり同じ夢を見る。
私の息子と娘が姉様と仲良く遊んでいる風景を、そしてその光景をデッカートが微笑みながら見守っているの。
その夢に私の姿はなくいつもその事が気になっていた。私の視点だから私の姿がないのは当然かと思ったけど、2人の子供達が私に近付く様子がないのはおかしいと思い、私は自分自身を〚確定未来〛で見る事にした。
私の未来は子供達と暮らす事は叶わない未来だと判ったの。なぜなら私は子供達が産まれる直前にこの世を去っているから。
私は同じ夢を見る事と、〚確定未来〛で見た事を姉様とデッカートに話す事にしたの。
「2人に大事な話があるの。私達の未来に関わる事だから最後まで冷静に聞いて欲しいの」
私の話す雰囲気が普段と違うと感じた姉様が、柔らかい表情から真剣な表情に変わる。デッカートは少し困惑気味に私を見つめる。
「私は最近になって同じ夢を見続けてたの。その夢に男の子と女の子が居て、姉様と子供達が仲良く遊んでいて、デッカートはその光景を微笑みながら眺めてるの。」
「それは、サツキが双子を産んでオドレイが子供達と遊んでくれてると言う事だよね」
私の夢の話をしていると、デッカートは嬉しそうな声色で話し掛けてきたけど、姉様はさらに複雑な表情になりながら重そうな口を開いた。
「待ってよ……サツキはどこに居るの?その夢にはサツキが居ないじゃない!」
「うん、私もこの夢を見ておかしいと思ったの。だから〚確定未来〛で自分自身の未来を確認してみたの……そしたら私はその未来に存在してなかったの」
デッカートは驚きで何も言えず、姉様は今にも泣きそうになっていた。
「私は子供達を産む直前にね……理由は判らないんだけど、アントワーヌ兄様に胸を貫かれ殺されてしまうの。お腹の中に居る子供達は、お祖母様が命懸けで救ってくれて、姉様が子供達の母となって育ててくれるの。」
「そんな未来には絶対にさせないわ!例え兄様が相手でも絶対にそんな事はさせない」
「そうだよ、相手が判れば私が必ずサツキをお腹にいる子供達を守ってみせる!」
私は最も信頼度出来る2人に話をして、私の身に起こる未来と戦う事を決意した。
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