第54話 お祖母様との再会

 私が妊娠した事を知った教皇様は、毎日のように私の元へやって来ては、身体の具合を聞きに来てはジュリエット様に叱られている。


「お父様!サツキはまだ安定期に入っていない大事な時期なのです!毎日来ないでください」

「いや……ワシの天使に何かあったら困るから気になるんだよ(汗)」

「もう少しすれば落ち着くので、それまでは来ないようにお願いします」

「うむ……判った(ショボン)」


 相変わらず食欲はないんだけど、ジュリエット様が用意してくれる果物と野菜を混ぜた飲み物は、とても飲みやすいので栄養面はこれで問題はないみたい。倦怠感のようなものは少し楽になってきたので、ツワリもそろそろ終わってくれそうな気がしてきた。


 今日もベットでゆっくりと横になっていると、私の大好きなお祖母様がわざわざペンドルトン聖教国まで見舞いに来てくれたの♪


「サツキ!逢いたかったわ♪」

「お祖母様!来てくれてたのね♪」


 嬉しさのあまりベッドから起き上がろうとすると、お祖母様が慌てて私の元へ駆け寄って静止したの。


「先ほどジュリーに会って話はきいてるわよ。ツワリが酷くて飲み物以外は口に入らないんでしょ?落ち着くまではゆっくりとしてなさい」

「えへへ、お祖母様に逢えてテンションが上がっちゃった(笑)」

「末孫のサツキが最初に曾孫を見せてくれるなんて思ってもいなかったわ(笑)」

「驚かせてごめんね。リュミエール王国との争いはどうなの?」


 私が争いの事を聞くと、お祖母様は少し困った顔をしながら私を抱き寄せたの。


「リュミエール王国との争いの事も、レンドルド王国で起こってる魔素溜まりの事も、今は考えなくていいの。産まれくる赤ちゃんの事だけを考えてあげなさい」

「うん……ごめんない」


 お祖母様にお腹の中にいる赤ちゃんの事だけを考えるように注意されて、私はお腹に手を当てて謝ったの。


 この日から私の体調が安定するまでの間は、お祖母様がペンドルトン聖教国へ滞在してくれると聞いたので、私はお祖母様とジュリエット様に甘やかされながら過ごす事になった。


 そして、私の体調が落ち着いて安心されたお祖母様は、マルグリット共和国へと戻る事になったの。


「次は元気な赤ちゃんが産まれたら迎えに来るわ♪」

「うん♪楽しみにしててね」


 と言葉を交わしてハグをしてから、マルグリット共和国へと帰って行かれたの。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る