第53話 デッカートからの求婚

 姉様とデッカートが部屋に入るなり、ジュリエット様に質問をする。


「はぁっ、はぁっ……ジュリエット樣、はぁ、はぁっ、サツキの体調はどうなんですか?」

「原因が判ったのなら治せるのですよね?」


 姉様は息を切らしながら具合を聞いて、デッカートは治るのかをジュリエット様に食い付くように質問をした。


「2人とも先ずは落ち着きなさい。サツキの体調は暫く治まる事はありません」


 ジュリエット様が答えると、姉様は絶望するような表情になり力なく口を開いた。


「そんな……ジュリエット様でも治せないなんて……お祖母様を呼ぶしかないの?」

「オドレイ、落ち着きなさいと言ったでしょ?サツキの体調不良の原因は妊娠による【つわり】だから、暫くは治まらないと言ったのよ」


 ジュリエット様の言葉を聞いた3人は、完全に固まってしまった。


「えっ……サツキが妊娠!?」

「サツキ様の……メルヴェイユ様の曾孫様」

「サツキが私の子を……」


 固まってる3人を見て、ジュリエット様は面白そうに笑いながら私の頭を撫でられた。


「あなた達はただ驚いてるだけなのかしら?」


「私のサツキに新しい命が宿ってる……こんなに嬉しい事はないよ!」

「可愛いサツキに子供が出来るなんて、考えただけで失神してしまいそうよ♪」

「早く、メルヴェイユ様にお知らせしないと!でも、サツキはご懐妊の身だから私はお側を離れる訳にはいかない……」


 最初は驚いて固まってたけど、その後は3人とも喜んでる様子なので安堵すると涙が溢れた。


「良かった……みんなが喜んでくれるか心配だったの……良かった。うぅ……」


 すると、デッカートはベッドで座る私に向かって、片膝を着いて頭を下げてから口を開いた。


「サツキ、君を幸せにする事を誓います、どうか私の妻になってください」


 デッカートからの求婚に、私は嬉しさのあまりベッドから起きあがって抱き着いて返事をする。


「はい♪」


 それ以上の言葉は思い浮かばなかったの。

 私とデッカートを見守っていた姉様達は、涙をうっすら浮かべながら祝福をしてくれた。


「サツキ、おめでとう♪早く可愛い赤ちゃんを見せて欲しいわ」

「サツキ、本当に良かったわね♪元気な赤ちゃんを産むまでは帰国は出来ないから、メルより先に曾孫を見れるのね♪」

「ヴィスマルク様に早馬を走らせてもらい、メルヴェイユ様に至急お伝えしてきます!」

「みんな、ありがとう♪元気な赤ちゃんを必ず産むから楽しみしててね♪」


 私は新たな命を授かった。

 これから産まてくる小さな命を、何よりも優先して守っていくと心に誓ったの。

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