第50話 教皇と聖女

 私とオド姉様と護衛を務めるデッカートの3人は大聖堂にある謁見の間で教皇の到着を待っていると、ヴィスマルクが現れて私達に近寄ってきたの。


「オドレイ様、サツキ様、教皇様が来られる前に少しお話をしてもよろしいですか?」

「「はい」」

「レンドルド王国で大地が魔素に侵され、魔人が現れたのを確認されたのですね?」

「私はレンドルド王国へは行ってないわ。確認したのはサツキと隣にいるデッカートよ」


 オド姉様が答えた後は、私とデッカートを見ながら再度確認してきた。


「本当に大地が魔素に侵されていて、魔人が現れたのを確認されたのですね?」

「大地に魔素溜まりが出来ていて、魔素が溢れ出してました。様子を見ていたら魔素溜まりから魔人が現れたのをデッカートが倒しました。その時に大地を浄化するには神聖魔法の光が有効だと聞き出したんです」


 私の言葉を聞いたヴィスマルクは表情を曇らせながら口を開いた。


「過去の文献と一致してます……他にも魔界化と言ってませんでしたか?」

「地上を魔界化する事で魔王が地上を支配すると言ってました」

「最悪の事態を迎えようとしてるのか……」


 最悪の事態と言う言葉が気になって質問しようとすると、謁見の間に教皇が到着したので聞く事が出来なかった。


「オドレイ、サツキよく来たね。ヴィスマルクより話は聞いている。神聖魔法を学ぶ事を認めるよ。2人の教育を担当するのはメルヴェイユの妹ジュリエットが務めるから安心して欲しい」


 教皇の言葉の後に、後方から純白の法衣を身に纏った女性が私達の前にやってきた。


「ジュリエットです。2人とも姉に似て魔法の素質があるようですね。これは教えるのが本当に楽しみです」

「ジュリエット様、オドレイと申します。よろしくお願いします」

「サツキです。よろしくお願いします」

「明日から神聖魔法を教えます。今日はゆっくりと過ごしてください」

「「ありがとうございます」」


 挨拶を済ませるとジュリエットは奥へと戻っでいった。お祖母様と違って社交的ではない印象がした。


「本来ならジュリエットがリュミエールへ嫁ぐ筈だったたんだよ。それが病で子を産む事が出来なくたってね……」

「それでお祖母様が代わりにリュミエールへ来られたのですか?」

「聖女だったメルヴェイユが嫁ぎ、嫁ぐ筈だったジュリエットが聖女になったんだよ」


 ジュリエットの意外な事実を聞いた後は、人払いがされて教皇とヴィスマルクに私達3人が残って、レンドルド王国での話を始めた。


➖・➖・ジュリエットの想い・➖・➖

 あの2人がメルヴェイユの孫娘なのね。

 私は子供を儲ける事は叶わなかったけど、メルヴェイユの孫娘を、私の孫と思って接してあげようと思う。

 2人とも可愛いかったけど、サツキちゃんの可愛さは別格ね。お父様が【天より舞い降りた天使】と言っていたけどその言葉の通りだった。


 明日から2人と過ごす時間が楽しみで仕方ないわ♪

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