第25話 心の癒し
私達を乗せた馬車が領地邸宅へ到着した。
玄関にはお父様とお母様が待って居て、私が馬車から降りるとお母様が思いきり抱き寄せてたの。
「サツキ…ずっと辛かったのね…その事を判らなかった私を許してね…」
お母様は泣きながら私に謝ってたの。
「お母様、弱い私が悪いの…もっと心を鍛えないと駄目だね。」
「っ、サツキ…あなたは頑張り過ぎたのよ。領地では責務を忘れて、ゆっくりと過ごしなさい。家族に甘えて心をしっかり癒すの。」
私とお母様の会話を聞いていたオド姉様も、号泣しながら私に抱きつき、
「私が…傍に居ながら…また、サツキを守れなかった…ごめんね…」
「僕がちゃんとサツキを見てれば…これからは絶対にサツキから目を離さない、僕はサツキの剣であり盾にもなる。」
邸宅に到着したばかりなのに、家族揃って泣いて居たので執事やメイド達が困っていたの。
「さぁ、サロンへ移動して静養についての話し合いをしよう。」
お父様の言葉でサロンへ向かって、静養中の過ごし方等を話す事にしたの。
「サツキの現状を報告するね。家族と一緒だと左腕の傷の話しをしたり、魔物討伐へ向かっても大丈夫なのよ。学園で私達が近くに居ない時だと、傷の話しも討伐の話しをしても駄目なのよ…」
「あのね…お兄様や姉様が居ると、私を守ってくれると安心出来るの。でも…1人だとね、私は弱いから不安になっちゃうの…」
「合同演習でのトラウマが脳裏から離れないのね…」
家族が近くに居れば問題無い状況に、合同演習のトラウマが問題だと提起する。
「サツキの自分が弱くて、自分も周りの人も守れないと思う事で、力を持つ者の責務を全う出来ないというジレンマも重なって、精神が不安定になってるのね。」
「それに関しては、これからは僕かオドレイが必ず傍に居るから問題は無いよ。」
「うん、ハッキリ言えばサツキに学園活動は不要なのよ。サツキを新学期から特例で5年にして、私と一緒に卒業すれば良いのよ。」
「2人の言い分は判ったけど、それではサツキを苦しめるトラウマを解消出来ないのよ?」
「ヴァネッサ、それは時間を掛けて往くべきだよ。早く治そうとプレッシャーになってしまうからね。」
「今は、サツキにゆっくり静養をさせて、責務に関しては放棄すれば良いのよ!自分を犠牲にする責務なんておかしいもの。こんな話しをしてるだけ無駄よ、私はサツキを連れて行くわね」
姉様はそう言って、私の手を引いてサロンから出て行ったの。
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