第24話 サツキ静養する

 私はお祖母様の勧めで、マルグリット侯爵領で静養する事になったの。静養期間は後期の残り全てで、その間は学園を休学する事になる。

 学園から実家には戻らずに直接領地へ向かうの。申し訳ない事に、アントお兄様とオド姉様も休学して静養に付き合ってくれる。私の為に休学はして欲しくないと伝えたら、お兄様と姉様は即答した。


「サツキが心配で学業なんて身に付かないし、僕は卒業資格は持ってるから心配ないよ。」


「サツキの居る場所が私の居場所よ。」


 私は2人の言葉を聞いて甘える事にした。

 そして領地へ出発する日になり、お祖母様やマーベルが見送りに来てくれたの。


「サツキ、色々と難しい事は考えずに領置で楽しんで来るのよ♪」

「うん、お祖母様に会えないのが寂しよ…」

「休暇に入ったら遊びに行くわよ♪」


 そう言ってから、優しく抱きしめてくれた。


「サツキ、新学期でも一緒に授業を受ける為に、絶対にSクラスに残るからね♪」

「うん、マーベルならSクラスに絶対に残れるよ♪」


 2人と別れの挨拶を済ませ、兄姉の待つ馬車に乗って領地へと出発したの。


「サツキはマルグリット領へ行くのは初めてね。」

「うん、どんな所なの?」

「自然豊かな場所よ。穀物も畜産物も鉱物資源も豊かで、小さな国として成り立つ程に全てが揃ってるわね。」

「わぁ、早く領地を見てみたい♪」

「きっと気に入るよ♪民達もサツキが来るのを心待ちにしてるよ。」


 兄姉達と楽しい時間を過ごしながら、無事にマルグリット侯爵領へと到着したの。


➖➖➖アントワーヌ視点➖➖➖

 サツキの静養の為にマルグリット侯爵領へと向かう事になった。大怪我を負った事による心のトラウマで学園生活に支障が出てる。


 学園から離れて静養する事で、不安定な精神を安定させるのが目的になる。小さい頃より常に努力して、才能を得た者の責務に努めてきた。学園入学前に教えられた事をサツキはオドレイと一緒に学んでいた…家族全員がサツキなら大丈夫だと思っていたからだ。


 この静養で何とか本来のサツキに戻って欲しい。責務なんて知る前の天真爛漫なサツキに戻って欲しい…

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