第16話 完全復活?

 姉様の│睡眠スリープのお陰で、痛みに苦しまずに一晩を過せたの。起きると『ズキズキ』と痛みは走るけど、お祖母様の回復魔法を待って、そこから〘拒絶〙で完治させれば完全復活出来るので、それまでは我慢するの。


「あっ、サツキ痛みで目覚めたの?」

「姉様、おはよう♪それもあるけどぐっすり寝れたから大丈夫だよ。」

「お祖母様が来るまでの我慢だからね。食欲はどう?何か食べたい?」

「痛みで食欲は無いかな…」

「治療が終わったら美味しい物を食べに行こうね♪」

「甘い物がいいな〜♪」


『コンコン♪』


「はい、どちら様?」

「王太后様が治療に参られました。」

「どうぞ。」


 お祖母様が部屋に入って来て直ぐに私を抱きしめたの。


「サツキ、大怪我をしたと聞いて生きた気がしなかったわ…直ぐに回復魔法をかけるわね。」


 回復魔法をかけてもらう時に、私は初めて患部を見たの…私の左肘から先は元の形を成してなかった。

 それを見た私は気分が悪くなり嘔吐したの…


「おぇ…げぼっ、おぇ…」

「サツキ、腕の状態を知らなかったわね…可哀相に、お祖母様、早く回復魔法をお願い!」

「神よ治し給え〚超回復〛!」


 私の患部が少しずつ形を取り戻す。お祖母様はかなりの魔力を消費したようで、額から汗を流していたの。


「私に出来るのはここまでよ。腕の具合はどうかしら?」


 私は左手を動かそうとするが動く気配は全く無い…形は戻っても、神経等は修復出来なかったの。


「駄目…動かないや。次は〘拒絶〙を試すね。」

「私は、元通りに動かなくなった左手を〚拒絶〛する。」


 〘拒絶〙をした瞬間に私の左肘から先が輝きだしたの。発光状態から徐々に光が和らいでくると、私の左手は精密機械のような義手になっていた。動かしてみると、以前と変わらない程にスムーズに動いたの。


「サツキ、元通り腕に戻す事は出来ないの?」

「今から試してみる(汗)」

「私は、機械のような義手を〚拒絶〛する。」

〘拒絶で行える範疇を超えてる為不可能。〙


 私の脳裏に謎の声が届いたの。これ以上は神の領域なのかも知れないね(汗)


「〘拒絶〙の範疇を超えてるみたい(汗)左手はこのままだよ…」

「そんな…」


 このままだと伝えると、お祖母様も姉様も言葉を失ったの。でも、私は潰れて動かない事を考えると十分だと思ったんだよね。


「お祖母様に姉様、見た目はこんな感じのだけどさ、元通りの動きは取り戻せたからね♪ほら?サツキの手がこんなのだと嫌?」

「なっ、何を言うの!私の可愛い天使に変わりないわよ!」

「私も同じよ。不安にさせてごめんね。」

「サツキの完全復活だよ!姉様、約束の甘い物を食べに連れて行ってね♪」


 そう言って、姉様とお祖母様を連れて3人で甘い物を食べに行ったの。腕に関しては、治療は出来たけど酷い傷跡が残ったので、手袋で隠してる事にしたの。

 義手のままだとサーバインが責任を感じちゃうからね。いつか本物と見分けの付かない手袋みたいな物を作りたいね。

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