第12話 眠り姫サツキ

 私は暗闇を彷徨っている…何処まで行っても暗闇から抜け出せない。


「恐いよ…お祖母様…恐いの…お兄様…」


 このまま暗闇を彷徨い続けるしかないのかな?

 このままお祖母様やお兄様に会う事は出来ないのかな?

 嫌だ…みんなに会いたいよ…


➖➖➖➖王太后の視点➖➖➖➖

 サツキが私に〚拒絶〛を使ってから2日が経った。未だにサツキは眠ったまま目覚めない。


 治癒師の診察結果は私の予想通り【魔力極限枯渇】で保有魔力を遥かに上回る魔力を消費して、不足分を常に吸収し続ける為に意識が戻らない状態らしい。魔力を使い切る【魔力枯渇】でも一晩は意識が戻らないのに、【魔力極限枯渇】だと意識が戻るまでの期間は想像もつかない…


 私達は祈りながらサツキが覚醒するのを待つしかない。


➖➖➖アントワーヌの視点➖➖➖

 サツキは未だに眠り続けている…まるで眠り姫の様に。


 人の命に関わる病を拒絶するのに必要な魔力とは、命に等しい魔力量なのだとしたら…サツキの命が尽きるまで眠り続けるのだろうか?

 そんなマイナス思考な考えばかり浮かんでくる…駆けつけたオドレイは、全く目覚める様子の無いサツキを見てから憔悴しきっている。

 お母様も知りうる伝手を使い治療法を探してくれてるが、未だに良い答えを得られずに、更に範囲を広げて探しておられる。


 やっと想いを伝え合ったのに…このままサツキが居なくなるなんて認められない。

 

『神よ!どうか愛するサツキを僕の元に返して下さい。』


 奇跡に縋るしかない僕は神に祈りを捧げた。

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