第11話 拒絶する

「う、う〜ん…」

「サツキ!大丈夫?急に倒れたから…とても心配したのよ?」


 あっ、そうだ。

 お祖母様が病に蝕まれてると聞いて、私は気分が悪くなって…気を失ったのね(汗)

 具合の悪いお祖母様に心配を掛けるなんて…私って最低だよ…でも、目の前のお祖母様を見ると涙が溢れて感情を抑えきれないの…


「突然の病の話だったから驚いたわね…サツキごめんね。今は落ち着くまでは私の胸で泣きなさい。」


 いつもの優しいお祖母様の言葉に、私は甘えてひたすら泣き続けたの…

 暫く泣き続けて落ち着いてきたので、再びお祖母様の話しを聞く事になったの。

 私はお祖母様の膝の上に座って抱きついたまま、お兄様は椅子に座って話を聞いたの。


「今年に入ってから視界に霞を感じたり、軽い倦怠感を覚えてね。治癒師と薬師に診て貰ったんだけど、原因はハッキリしなかったの。あなた達のもう1人の祖母だったサツキも、同じ症状だったの。」

「お祖母様と同じって…あの時は具合が悪くなられて半年後には…そんな…」

「原因はまだ判らないのよ。ただ、そうかも知れないだけで同じとは限らないのよ…」


 私はサツキお祖母様の事を知らないけど、2人の話しを聞いていて、同じ病なら…と考えてしまうと恐くなって、抱きつく力が強くなる。


「サツキ、賢いあなたなら人には寿命がある事は知ってるわよね?そして、寿命には逆らえない事も判るわね?」


 優しく諭されるけど…私は納得できない。


「だって、病なら治るもん…私はそれを寿命なんで認められないよぉ…」


 私は再び泣き始める…

 そして、自分の言葉の『認められない』と言った事に〚拒絶〛を使えばと何とかなるかもと閃いたの。この力ならお祖母様を治せるんじゃないかと…


「お祖母様、私はお祖母様を蝕む病を〚拒絶〛します!」


 その言葉を口にした瞬間!

 私の身体が輝いたと思ったら、目の前が暗くなり気を失ったの…〚拒絶〛発動には尋常じゃない魔力を消費する様で、どうやら私は魔力枯渇をしたみたいね(汗)


➖➖➖➖王太后の視点➖➖➖➖

「私はお祖母様を蝕む病を〚拒絶〛する」


 私に抱きついて泣いていたサツキが、その言葉を口にした瞬間、サツキの身体が輝くと同時に、私の身体が軽くなった様なきがした。


 輝き終えたサツキを確認すると、気を失っている。症状から見ると、保有魔力を大幅に上回る魔力消費した時に起こる、魔力極限枯渇を起こした様だ。


 アントワーヌに急いで呼ぶ様に指示し、私は寝室のベッドへサツキを運び寝かせた。


 サツキは神聖ギフト〚拒絶〛を使い、私の病を治療したのだ…自分の危険を顧みずに…

 私はサツキと頬を合わせて泣きながら話しかける


「サツキ、お願い…目を覚まして…」


 私はサツキに病の事を打ち明けた事を、ひたすら後悔するのだった

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