第9話 サツキの告白

 私は事実を伝える事にした。


「お兄様、これは私の秘密にしてた事でお祖母様も知らないの。今からその秘密をお兄様に伝えるから、わたしはどうしたら良いか教えて欲しいの」


 普段の『ほんわか』した口調ではなく、物凄く真剣な私の言葉にお兄様も身構える


「私ね、記憶があるんだよ…前世の記憶が」

「ぜ、前世の記憶って?」


 前世の記憶と言われても簡単に理解出来ない様子のお兄様


「私ね、前世はこことは違う世界で生きていて【アリマ サツキ】として生きていたの…」


 それから、日本の事、最高レベルの学校で学んだ事、自衛隊員として国防の職に就いてた事や、任務で殉職してこの世界に転生した事を説明したの。


 当然、お兄様は全ての事を理解出来ずに困惑気味だけど、私がこれまで打ち明ける事が出来ない内容だとは理解して、説明を聞き続けてくれたの。そして


「そこまで事細かに説明されると、前世の記憶があるって理解できたよ。生まれた時からずっと…胸の内に秘めて置くのは大変だったね」


 そう言って、私を優しく抱きしめてくれた。


 お兄様を信じて打ち明けて良かったと思った頃には『ポロポロ』と涙が溢れて、そのままお兄様の胸の中で思い切り泣いたの…


 私が泣き終わり落ち着いた頃合いに、お兄様の考えを聞かせてくれたの


「僕は、お祖母様には報告をするべきだと思うんだよ。必ず力になってくれるし、僕より適切な判断をしてくれるからね」

「うん、お祖母様にも説明するね。お兄様も一緒に来てくれる?」

「勿論だよ。明日にでもお祖母様の元へ一緒に行こうね」


 不安な私を安心させる為に笑顔で応えて、私の頬へ優しくキスをしてくれたその時、私はもう1つの告白をしたの


「お兄様、私ねお兄様が大好きなの。それは家族としてじゃなくて、異性として愛してるって意味を込めた大好きなの…こんな事を言えば、お兄様を困らせるだけなんだけどね…」

「サツキ、僕はサツキを愛してるよ。サツキと同じ様にね」


 その言葉を聞いて私は目を閉じる…

 私の唇に重なる物を感じたの…

 お兄様は優しく唇を重ねてくれた…


 その時の私の表情は自分では判らなかったけど、前世を含めても最高に幸せな顔をしていたんだと思う

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