第20話 王妃乱心

 私の儀式の後、中央円堂は静まったまま…


 そんな状況の中、残った王家3人の儀式が始まろうとしてた


「さて、儀式を再開しましょう。マーベル殿下こちらへ」


 第2王女が教皇様の前へ跪く


「マーベル殿下、特殊【拡声】声量を大きくし遠くまで声を届ける能力。属性【土】」


 第2王女はギフトやスキルでもなく、特殊だったのだ。王家の血筋でスキルすら授からないのは珍しい様で、静かだった中央円堂がザワついた。


「デービス殿下こちらへ」


 続いて第4王子が教皇様の前へ跪く


「デービス殿下、属性【風】」


 第4王子は何と属性のみで、しかも1属性のみなのだ…これは平民レベルの結果となったの。流石に周囲は騒然となり、最後の1人が儀式を迎える


「サーバイン殿下こちらへ」


 第3王子が教皇様の前へ跪く


「サーバイン殿下、スキル【硬質】身体を硬質化する力。発動中は全ての物理攻撃を受けつけない。属性【火土】」


 教皇のお告げが終わると、第3王子の顔は蒼白になって今にも倒れそうだった。王子お仕えの騎士が寄り添い席へ連れ戻ると、突然王妃様が叫んだの


「護衛騎士団!そこに居る魔女を捕らえよ!悪魔と取引した事は【才能覚醒の儀】の結果で明白、手引した王太后諸共捕らえて幽閉せよ!」


 鬼の様な形相で叫ぶ王妃様の声に、護衛騎士団は躊躇いながらも私達に近付くと


「アーバイン、王妃は乱心の様ですが止めないのですか?それとも王も王妃と同意見なの?直ぐに答えなさい!」


 お祖母様は怒っていた。

 対して王は『オロオロ』とたじろいでる…が何とか気を取り直し発言する


「騎士団よ引くのだ!母上とサツキを捕らえる事を余は許さん!アリエッタよ母上への侮辱は目に余る、宮殿へ戻り反省せよ!」

「あなた…私より母と姪を取るの?」

「そうではない、今のお前は常軌を逸しておるのだ。冷静になって考えるのだ!」


 王妃様は付人と共に、宮殿へと戻っていくのを確認した王様は


「母上、そしてサツキ、王妃の無礼を謝罪する。改めて本人より謝罪させるので許しては貰えぬか」


 王様は少し悲しそうな顔でそう言うと


「アーバイン、貴方を信じても良いのですね?一応、サツキを護る為に私の養女とします。この場に居る者にも伝えておくわね、サツキに手を出すと言う事は、王太后と敵対する事だと覚えておくように!」


 お祖母様の一言により大波乱となった【才能覚醒の儀】はこうして幕を閉じたの…

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