工房ギルド大会

できた容器にリンゴを入れていく。 

そのあとに倍速魔法袋に容器と小瓶を入れてと。

さて発酵させ熟成までの間に鎧づくりを始めよう。


 鎧づくりは材料を何にするかを考えていた。

 工房ギルドでの大会のテーマの『逸品』を作るため材料は良質な物を使いたい。

 魔法袋にある手に入れた鉱石と魔物素材?を吟味しながら鎧をイメージする。


 ブリガンダインにしようかと思ったけど思ったより鉱石も魔物素材も揃っているからプレートメイルを作ろうかな⋯⋯


 素材はシルバーゴーレムと朱の煌結晶と隕石メテオリックアイアンを使おう。


 シルバーゴーレムは全身シルバーで出来ているゴーレムだから、存分に素材を使える。


 今回使う朱の煌結晶は火属性の大きな塊で火耐性と火属性吸収が付く。形を形成した後にまんべんなくふりかけていけばいい。


 隕石メテオリックアイアンはダンジョンに落下した分を少し拾っておいた。加工しやすいし、色々と混ぜれそうだからだ。


 「よし!今回もレオナ、ルシファー頼むぞ。まずは鎧を作るために炉に火魔法を頼む」


今回も技能を活用しよう。

『ジョブチェンジLEVEL-2』


鍛冶技能――<守護者の匠>

錬金術技能――<アーマークリエイト>

鎧をプレートメイルに形に組んでいく⋯⋯


「ルシファーは煌結晶を細かくしてくれ」

「わかったのだ」

「ギャルウ」

ベリルが光って鎧に魔法をかける。


鎧が輝き始めしばらくすると光が落ち着いた。


「なんだ!?」

鎧が小刻みに震えている

「なんか動いてます~」

レオナが鎧の動きに反応している


ルシファーが鎧の様子を見ながら教えてくれた


「ベリルの魔法とシルバーゴーレムのコアが混ざって変化したみたいなのだ」


鑑定してみるか


『ジョブチェンジLEVEL-1』鑑定士――『鑑定』


― プレートメイル ―  『ガーディアンアーマー』 SR


『形状記憶』『守護者の意思』 

『火属性吸収』『衝撃耐性』

Vit(丈夫さ)400


着るものに同化し、あらゆるものを防ぐ効果を出す鎧


⋯⋯『守護者の意思』ってなにかな?


ルシファーいわくリビングアーマーの強化版ってことみたいだ。


 中身を操るのが精霊だとデュラハンになるんだけど、下級精霊とモンスターのコアが融合したものが『ガーディアンアーマー』らしい。


「マスターの指揮下に入っているみたいなのだ」

「戦える鎧になったと⋯⋯」


「すごいです!如月様!」

これ出品できるのかな?


しかし、これは量産なんてできんぞ。





◇◆◇◆◇◆



「がはは!すげーもん作ってんな!」


 ジークドラムスが笑いながら鎧を眺めている。ジュデイも一緒だ。


 倍速魔法袋に入っているリイゴ酒もいい感じに熟成できた。


「じゃあ今回の逸品を登録させてもらうぜ。」


 印を押され奥にしまわれていく。あとは大会の会場へ展示されるだけだ。


「頼まれたもんも用意でき終わったぜ。」


ジークドラムスに頼んでいた料理道具と武器を渡して貰った。


 「これでやっとましな暮らしが出来そうだ。後鉱山であったことなんだが⋯⋯」


 ジークドラムスに鉱山であったことを伝えると少し眉をひそめるジークドラムスとジュデイ。


「わかったよ。ちょっと宛を当たってみるよ」


 「俺の方も調べておくぜ。まあお陰で弟子たちの素材も良いのが揃って今回の大会は楽しみになったぜ」


 工房ギルド大会に向けての準備もできたし、結果を楽しみにしておこうか。




◇◆◇◆◇◆



工房ギルド大会当日になった。ジークドラムスたちについていきながら会場にはいっていく


大会の広場で各ステージに別れ、それぞれの逸品が置いてある。


そのまわりでは商店が並び彫刻や工芸品、絵画が販売されている。


「ふあー色々ありますね」


「市場みたいな感じになってるな」


工房ギルド大会の審査は代表者の投票制となっている。


 1つづ代表者がチェックし、いいと思う作品に投票をしていく。代表者は10名で1人1点の10点満点中7点で優秀作に選ばれる。


 ジュデイいわく年々優秀作は減り、並みの大会と評価が落ち込んでいるとのこと。


 「今回の件でまた工房ギルド大会に活気が戻るといいんだがな」


 「良くなっていくよ!あんたあの作品をみたかい?酒もそうだけど鎧なんて、とてもじゃないけど作れそうもない出来になっているじゃないか。本部の奴等の鼻を明かせるチャンスだよ!」


「まあ量産となるには偶然が大きすぎてつらいものがあるんだが⋯⋯」


「如月様の底が見えない作品となってますね」


「マスターは留まることを知らないのだ!」


「ギャルル」


頭をかきながら作品展示場所に移動していく。


「展示の場所を確認できたら他の作品と商店を回ってみるか」




◇◆◇◆◇◆



「ここが展示場所だ!俺の弟子たちの出来も上々だし、たのしみだぜ~」


展示場所を確認して、鎧に指示を出して大人しくしてもらった。


「さて他の作品や欲しそうなものがないか探しにいこう」


「楽しみです」


「どんなものがあるか興味あるのだ」


「ギャルル」


最初に来た場所では石でできた剣を持った彫刻が置いてあった。


<戦乱の戦士像>


 展示品は作品タイトルもつけれたみたいだな。


今にも飛びかかってきそうな気迫が像からでている。


「なかなかの迫力だな」


「今にも動きそうですね」


「むぅ⋯⋯魔力を感じるのだ」


「グルル」


 周囲では陶器を売っているな。


いくつか買っていこうかな⋯⋯


 次に向かったのはケイン、ロック、アルベルトのところだ。


 今回はクレイモア、フランベルジュ、守りの腕輪を展示しているようだ。


シンプルな材料を使い、性能を上げているようだ。


 今回は魔物素材は提供を断られたが鉱石は1部提供をしたのだ。


「おかげでいつもより良いのができたぜ」


「素材さえ揃えばやはりよくなると思ったよ」


「これで今回の酒代も稼げそうだ」


まずまずの出来にドワーフたちもほっとしている。

あいさつを済ませドワーフたちの場所をあとにする。


 ここの周囲は絵画を商店が売っているな。まあ飾るとこないしな⋯⋯


次は工房ギルドの本部のチームのところに移動した。ここは3チーム連なって展示してあるな。


 内容は⋯⋯んんっ⋯⋯!?剣?と鎧か?使っている素材はいいんだが物凄く下手なのがわかる。


 よくあんなんで逸品にだそうと思ったな⋯⋯。


もうひとつは魔道具を置いてある。なんの魔道具かな?全然わからないが欲しいと思えないのは勘で分かるな。


「下手くそなのだ~」


「至るところが曲がってます。舞台用でしょうか?」


「おいおい⋯⋯声が大きいぞ。頼むから静かにしてくれ」


「うおっほん!!おいお前!俺の作品にケチつけるたぁ⋯⋯いい度胸だな」


言うのが遅かった⋯⋯テントから大柄のおっさんが出てきて睨んでいる。


「変わった作りをしている剣だと思ったんだ。まあなんだ、結果を楽しみにしておこうか」


「なんだと?ああ⋯⋯お前が工房ギルド支部に来た新人か?あまり目立たないことだな。最近この辺は物騒だからよ」


大柄のおっさんはニヤニヤしながらテントの中にはいっていった。


 ここの周囲は⋯⋯装飾を置いてあるな。しかしステータス向上効果があるものがないな。宝石も小さいし、アクセサリーとしてはいまひとつだな。


 しかし物騒とは⋯⋯何か知ってそうだったけど用心した方が良さそうだな。


 あとは壺と人形が展示してあるな。


壺は歪で人形は禍々しいぞ⋯⋯


 側に座っている人が製作者かな。ローブを羽織ってるが怪しげなオーラを出していてすごく気になる⋯⋯どうなってるんだこの大会。




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