ヘリオドールドラゴン
坑道内を抜け1階の採掘ポイントに到着した。
「よし。ルシファーと俺で掘るからレオナは回収を頼むぞ」
レオナに魔法袋を渡してピッケルをルシファーにも渡す。
「ピッケルが弱そうなのだ。少しスキルを使うのだ。『気功』――武器強化」
ルシファーのピッケルを持つ手が光りぴったりピッケルを覆う。
『気功』か。いいスキルだな。少ない体力で採掘できるようになるのと気をピッケルを纏うことで硬度が増したな。俺も欲しいな。⋯⋯これか。
『ジョブチェンジLEVEL-2』技能スキル 拳法家ー『気功』
「俺もスキル発動――『気功』武器強化」
手に気を纏いピッケルを覆っていく。思ったより難しいな。
「マスターは一瞬で我が輩のスキルを取得するとは流石なのだ」
採掘作業を始めて20分がたった。
「ここらへんの鉱石は取り尽くしたみたいだな」
「早すぎて目が回る忙しさです~」
1階層に宝石の類いはなかった。鉄鉱石からトロナ、石灰石など様々な鉱物が採れたので問題はない。
「じゃあ採掘を2階層にしようか」
2階の採掘ポイントでまた作業を開始する。
「また種類が違うな。クローム鉱山はすごいな。こんなに採れるのになぜあんなに品質が悪いか解らないな」
「そういえば⋯⋯このピッケルわざと品質を悪くして取れにくくしてるようなのだ」
ふむ。わざと品質を悪くしてどうするのだろう。
少しキナ臭いな。
鉱石はダラス魔鉱石、煌結晶、黒曜石などが掘れた。
2階での採掘が終わって3階に向かう途中でルビーフェアリーが飛んできた。手のひらサイズで真紅の羽に赤い靴を履いたフェアリーだ。飛びかたが何かから逃げて来たような感じがする。
「助けて!そこの人、魔物が出たんだ!仲間が取り残されてる」
「魔物か!どんなやつが出たんだ?」
「ええっと。黄色かったよ!魔力が凄くてとても大きかった!」
黄色くて大きいのか。坑道はそこまで広くないからルビーフェアリーの大きさからどれだけの魔物か予想がつかない。
「とりあえず採掘は中断して助けに行こう!」
「わかったのだ」
「わかりましたのです」
「場所は4階だよ!少し崩れてるから早くしないと潰されたりするかも!」
急いで4階を目指して行く!
◇◆◇◆◇◆
奥に進んでいくと坑道内が崩れている箇所が所々見えてきた。
落盤の原因は魔物だったみたいだな。
「大きな魔物は怪我してたよ!その魔物のいる側が私達の住みかがあるところだよ!」
見えてきたぞ。
「あそこにいるぞ!」
あれはドラゴン⋯⋯だな。想像以上にデカイ。
綺麗な黄色のドラゴンがいる。
なんか鉱石を食べてるけど。
様子がおかしいな。
所々ドラゴンから魔力が抜け出ているし、血が出て黒ずんでいる。
「ゴリゴリ。バリバリ。GRRRRUUUU」
時折痛がって壁にぶつかったりしているな。
「ヘリオドールドラゴンなのだ。
何か刺さっていて、それで衰弱しているのだ。
鉱石は魔力回復の為に取り込んでいると思うのだ。
ほっておいてもくたばるのが早いと思うのだがマスターどうする?」
手負いの魔物は危険だと思うがどうするか。
「あのままにしておくのもヤバそうだ。
取り敢えず押さえ込んで暴れないようにさせよう」
「あっ!あそこに仲間がいる!」
ルビーフェアリーが叫ぶとヘリオドールドラゴンの傍からスファレライトフェアリーが飛び出してきた。
「お願い!この子を助けて!私の大切な友達なの!」
スファレライトフェアリーが此方に来て懇願してきた。
「魔物を庇うのか!スファレ!」
ルビーフェアリーの怒号が響く
「私のせいでベリルは傷ついたの!
私達が行った鉱山の奥の場所に変なものがあって!
捕まりそうになった私を庇って罠にはまってから様子がおかしいの。
何とかこっちに戻ってきたけど私じゃどうすることも出来なかった」
「なっ?」
ルビーフェアリーが事実に驚いて声をあげる。
ヘリオドールドラゴンは前からこの鉱山にいたみたいだな。
「まあ言い争いは後にしてとりあえずこの場をどうにかしてから話をしようか」
「レオナは捕縛した後の回復を頼むぞ」
「わかったのです!」
「ルシファー、アイツの動きを止めれそうか?なるべく傷つけずに頼む」
「任せるのだ!サンダーパラライズレイン!」
バリバリ!バリバリ!光の雨がヘリオドールドラゴンに向かって降り注ぐ。
「GYAAAAAAA」
叫びと共にヘリオドールドラゴンの動きが痙攣しだした。
どうやら痺れて動けないようだ
ぶつかったりしてた所から魔力が漏れてるな
あったこれだな
禍々しい刃がドラゴンの鱗に刺さっていた
『ジョブチェンジLEVEL-1』 僧侶――『呪術解除』
ジュワ~。音を立てて刃は崩れ去った
「よし。レオナ『治癒魔法』を頼む」
「はい!生命の息吹よ理となりて対象を癒したまえ! キュアヒール」
ヘリオドールドラゴンの傷が治癒されていく。
魔力も放出されていたのが弱まっている。
「ベリル!」
スファレライトフェアリーがヘリオドールドラゴンの元へ飛んでいった
「あとはこの落盤した部分を直すようにしないとな。ルシファー手伝ってくれ。『土魔法』と『重力魔法』を頼む」
「わかったのだ!」
『創造魔法』を使用し、『土魔法』と『重力魔法』の合成で崩れた岩盤空中に浮かせ天井や壁にをくっつけていく。
『重力魔法』は便利だな。何にでも応用が効きそうだ
「すごい!崩れてた壁や天井がもと通りになっていくわ!」
「よし!これで大丈夫だろう」
4階の崩れていた場所はあらかた修復できた。
「ギャウ!」
麻痺が解けてきたヘリオドールドラゴンが小さく吠える。
「お陰で苦しいのがなくなったと言っているのだ。なに?お礼に着いていきたいだと?」
ルシファーがヘリオドールドラゴンと会話しているようだ。
スキル『念話』を使っているみたいだ。
このスキルは言葉が通じないものでも会話ができる能力で、
考えていることなども読み取ることができる。
ルシファーはマジで便利屋だな。
「大きすぎて目立つから連れていくのは困るな」
そういうとヘリオドールドラゴンはこちらを見て頷くと光の輝き、小さくなっていった。犬サイズになった。
「ギャルル!」
「魔力が制御出来るようになったから小さくなれたみたいなのだ。」
仕方ないこのサイズなら問題も少ないだろうか⋯⋯
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