夏の香と天の高さと白い雲
MURASAKI
夏の香と天の高さと白い雲
高揚し頬染めてただ抱き寄せる ためらいながらそれすらもまだ
後ろ髪引かれたわたし 爪を立て蝉に負けじと声を荒らげ
鉄格子知らない天井見えぬ空 力なく呼ぶ母の名前を
絶望と一縷のひかり目の前にただ手を伸ばし 届かぬ想い
真夜中に起こすあなたが愛しくて 包んで遠く埋まらぬ心
あたたかなそのぬくもりに触れてなお また拒絶されチクリと刺さる
あなたから受け取る愛は歪でも 手渡されればまた嬉しくて
何度でも受け取ってまた手放して またひとつまた増える土山
曇天のひとすじの光映らずに 姿求めて漂い沈む
満ち照らす悠然と座す名を呼んで 見返す顔も染め直す
俺を見て 猫なで声で話すから あなたの為に手放した
いつもより長くその場にある姿 首をかしげて見守るあなた
気がかりを飲み込んでただ見続けて 記憶に刻む双つの心
目を閉じてまた目を開けて目を閉じて春の日の世に並んで眠る
夏の香と
愛してる 毎日の日々思い出し 別れてもなお心に絡む
さようなら 蛍の光消えた夜 越えられなくてあなたとわたし
お願いよもう一度だけ 呟いて 抜け殻はまだあたたかなまま
閉じ込めた思いは今も胸にあり 時折触れて雨に溺れる
二十年 魅せられてきたその姿 蘇りまた残響に酔う
夏の香と天の高さと白い雲 MURASAKI @Mura_saki
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