第4話

「『絆創膏くらい持っとけって(イケボ)』」


 黄昏時、下校中。

 私とカコは一緒に帰っていた。


「『女子なんだから(イケ──痛い!痛い!痛い!」

 私はそろそろイラつき、カコの頬をつねって黙らせた。

 私と風馬の会話を廊下で一部始終聞いていたカコは、その10秒にも満たないやり取りを暗唱してくる。


「私、話は聞いてたけど覗き見は出来なかったんだけどさ、その絆創膏貼ってもらう前にさ……ふふっ」

 カコはまた何かふざけた事を言おうとしたのか、自分で笑いだした。

 私はあの時絆創膏を貰って私は何回も断ったが、右手を引かれ絆創膏を貼られた。正直、もうカサブタになったから意味無いが。

「ぷぷぷっ……、あのさ……傷口ぺろぺろ舐めてもら──痛ェ!!!」

 私は名もなき怪物としての4%のわずかの力を振り絞って、カコの脇腹をねじり切るようにつねった。


「カコも気をつけた方がいいよ。私怒らせて、脇腹にアザ出来たらどうすんだよ。『女の子なんだから』」

 私は脇腹を離した。カコは腹を抱え悶えていた。


 ……10分程経って、私たちは再び家に向けて歩き出した。

「だとしても、普通に怪我してるの気付かなかったよ。なんで教えてくれなかったの?」

「聞かれなかったし」

 私は無意識に右手の傷跡に触れた。絆創膏の変な感触があった。

 私はそのまま絆創膏を剥がした。

「こんなの要らないんだけどな」

 私はそれを側溝に捨てると

「あ! ポイ捨て!」

 とカコは言った。


 家に着くと静まり返っていた。灯の県外出張の仕事はまだ終わっていないのだろうか。

 私はスマホを確認したが、灯から遅れるなどといった連絡は来ていない。


 私はリビングへ行くと机の上に封筒が置かれていた。今回の仕事依頼の手紙だろうと思っていたが、手に取るとどうやら違うらしい。


 これは、灯が私に遺した遺書だった。



「……は?」

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