2.5 雑談

オーブとは

「おやすみ」


 6畳の和室にて、1 m平方の机に藍色の布が被せられており、その真ん中に魔導書が置かれている。

 ここは私の寝室だ。


 毎夜私はここで100%完全に封印される。例え想像体だとしても灯の寝ているところを殺しにいけるからだろうか。


 私は力を抜くと、想像体が崩れオーブの塊は分解される。



 そうそう、オーブについてもう少し説明しよう。(長い説明なので読み飛ばして大丈夫である)


 オーブ〔英 orb〕(名) 物、生物、思考及び概念などが内部にある水滴のような白い球体。玉響現象とも。普通肉眼で見えないが、写真を通して見たり、霊感の強い者は見たり触れたりできる。水蒸気や埃によって光が反射にカメラに写っただけだという意見もある。[『重紙日光国語辞典』より]


 写真では区別しにくいが、水蒸気や埃による光の反射とは違う、白い球体のようなものが存在する。

 これは万物が保有しており、固有オーブとも呼ばれる。木に含まれる固有オーブには木によるパワーや情報が含まれており、火にはその情報が入っている。これは基本的にその物と強い力でくっついており離れない。一方、概念や思考もオーブ化することがある。

 それぞれ概念オーブ、思考オーブなどと呼ばれるが、いわゆる物理的に存在しないものもオーブとして情報を持ちながら実体化させることができるというものだ。これは基本的に生物から放出されており、人間は非常に多くの概念オーブを作り出している。一般的な人にはこの概念オーブを操ることが出来ないが、家系の遺伝やセンス、または修行により概念オーブを自在に放出して操ったり、思考オーブを使うことができる。

 言霊という言葉があるが、これは概念オーブによるものだ。言葉に出すことで同時に放出されるオーブが霊的な力として具現化する。

 また、もっと鍛錬を積むことで、固有オーブを取り出すこともできる。つまり、燃えている火から火オーブを取り出して、別の場所で火の情報を放出することでその場から火を出したり、火の神と対話ができるかもしれない。


 少し難しいので一旦私の好きなオーブの話をしよう。

 持論だが、オーブには味があるのだ。これは人間には出来ない領域らしい。

 私が食べてきたオーブの中で1番美味しかったのは、鶏卵オーブだ。あれは濃厚な味わいがある。普通に卵焼きを食べるのと違う魅力があるのだ。


 戻ろう。私は怪物の頃、無数の人間オーブと猫オーブと花オーブと様々な凶器となりうるオーブを入れられ、凶暴化させられた。今灯によって4%だけの力を放出されているのは、怪物のうちの人間オーブの一部だけを封印から解放されているため、想像体を人の形として作れているという訳だ。


 オーブの特性はまだまだ沢山あるが、2つあげるとすると、死んだ時に死ぬ直前の思考がオーブに閉じ込められて放出される点だ。これは幽霊現象などの起因になる。もう一つ大きな特徴が、オーブ生成時には熱を吸収し冷気を出し、分解時には熱を放出する特徴だ。これによりいくつかのオカルト団体はオーブを用いてエネルギー問題を解決しようとしている。

 その団体のうちの一つがモドス教だ。あそこは信者だけでなく、拉致を行い多くの人からオーブを受け取り、莫大なエネルギーを持っている。



 なお、オーブには多くの種類があるため、各地にそれぞれの専門家がいる。火オーブの専門家、水オーブの専門家。

 灯の知り合いの両木という人は石オーブの専門家。灯は言葉、紙の専門家だ。

 灯は言葉に含まれるオーブの研究をし、紙に書かれた文字に含まれるオーブにも詳しい。だから護符を基本的な儀式の道具としている。

 お陰様で、私は魔導書に封印なんかされてしまっているわけだ。



 長い説明は終わりにしよう。


 私はこうして毎日夜に灯に完全にら100%封印され、本の中で眠っている。

 そして、次の日の朝になったらまた4%だけ封印を解かれ想像体として外に出る。

 灯の仕事を手伝ったり、学校に行ったりするのが私の日常だ。


 といった

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