第2話
私は帰宅すると自宅の応接間に依頼人が来ているようだった。
特に今日は仕事を手伝って欲しいとかは言われてなかった気がするが、少しだけ顔を出してみると、どうやら来ているのは先程自転車屋で会った夫婦だった。
妻の方は灯に真剣に何やら説明をしている。店と同様妻は犬のぬいぐるみを持ち歩いているのか、机の上に乗せられている。部屋と夫婦の位置的に、灯は部屋のドアに背を向け、夫婦がこちらを向く形で向き合って座っているため、夫は私に気付いたようだ。
そんな夫の目線を見た灯もこちらを向き、私の帰宅に気付いたようだ。
「ああすみませんね。娘が帰宅したようで」
灯はそう言うと立ち上がり部屋から出てきた。
「おかえり。今日の昼に急遽依頼があったんだ。特にらのにはやって欲しい事はないから」
そう言われた。
さっきも思ったがこの夫婦は訳ありなんだろうな。うちに相談しに来るような人は基本面倒事を抱えている。
すると
「もし違ったら失礼なんですけど」
夫が立ち上がり近付いてきて
「自転車屋で……?」
と聞いてきた。
「あ、はい。私は友達の付き添いで」
「あ、長浜さんと娘は既に1度顔を合わせていたんですね」
灯は言った。この夫婦は長浜という名前なのか。
と、色々雑談をしていくうちに何故か私もこの夫婦の相談を聞くことになってしまった。この長浜夫婦のうち、妻は
私が帰宅する前までの話を灯が軽く話してくれた。
長浜夫婦には子供がいるようだが、呪いをかけられてしまったらしい。呪いをかけられた子供の名前は
新人はある日を境に犬のぬいぐるみになってしまったそうで、時々「ここから出して」などと話しかけてくるらしい。
これは普段から感情の起伏が激しそうな杏花だけかと思ったが、志人にも同じく聞こえるそうだ。
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