第37話 14日目(金) 十色市旅行編⑥

「櫂君。おはようございます」

 目を覚ますとすでに有紀は起きていて、縁側に備え付けられていたベンチに座って本を読んでいた。


「おはよう。有紀」

「おはようございます」

「いつ起きたんだ?」

「一時間くらい前ですかね」

 現在時刻はスマホで確認したところ十一時だった。


「早いな」

「私は櫂君たちより早く寝ましたからね」 


 昨日は深夜一時くらいまで三人とイチャイチャして、それから二時間彩海の練習に付き合って寝た。

 有紀とアリスは一時半くらいには寝ていた。

 俺はあくびをしながら洗面台に向かい顔を洗った。

 アリスと彩海はまだ寝ている。

 顔を洗った俺は有紀の隣に座った。


「昨日は何時まで彩海ちゃんとゲームをされていたのですか?」

「三時くらいだな」

「そうなのですね。彩海ちゃんに勝つことはできましたか?」

「聞かなくても分かるだろ」

「ダメだったんですね」

「まぁな。完全に仕上がってて俺なんて足元にも及ばなかったよ」


 深夜三時で疲れているはずなのに、彩海のプレイはキレキレで明後日に控えている世界大会の予選に向けて隙は無いといった感じだった。

 あれだけ仕上がっているなら、新幹線の中で自信満々に「予選は楽勝」と言い切ったのも頷ける。


「さすが彩海ちゃんですね」

「だな。俺はいつになったら彩海に勝てるのか」

「ふふ、彩海ちゃんは格ゲーの天才ですからね。なにしろ、格ゲーを初めてたったの数カ月で世界大会で優勝してしまったのですから」

「天才すぎ」

「私からしたら櫂君も天才だと思いますけどね」

「俺は天才じゃないって。お金と時間があったからたまたま一位になれただけだから」

「そんなことないって言ったじゃないですか。櫂君はもう少し自分に自信を持つべきです。櫂君は凄い人なのですから」 

 ぐいっと有紀は顔を近づけてきた。


「分かったよ」

「なら、いいです」

 有紀はニコッと笑った。


「さて、そろそろ二人を起こしましょうかね」

「そうだな」

「今日も予定がたくさんですからね」


 今日はこれから十色砂丘というところに行き、夜はシャンシャン傘踊りというお祭りに行く予定になっていた。

 今日も今日とて予定がてんこ盛りだ。

 俺と有紀は二人を起こした。

 眠そうな顔で起きた二人は見事に浴衣がはだけていた。

 彩海は谷間とおへそががもろに見えていて、アリスは右のおっぱいがもろに出ていた。

 そんな二人の浴衣を有紀が直してあげていた。


「有紀。今何時?」

 アリスが俺に抱き着きながら聞いた。


「もうすぐ十一時半になるところですよ」

「結構寝てたのね」

「まだ眠い~」

 彩海は大きなあくびをして目を擦ると再び布団に寝転んだ。


「まだ寝てちゃダメ~?」

「ダメではないですけど、彩海ちゃんのことを置いていきますよ?」

「それは嫌だから起きる~」

 のそっと起き上がった彩海は洗面台に向かって顔を洗い始めた。


「ほら、アリスも顔洗って来いって」

「連れてって」


 最近の寝起きのアリスはいつもこんな感じだ。

 やたらと俺に甘えてくる。

 甘えられること自体は嫌じゃないでの俺は素直に受け入れている。


「仕方ないなぁ~」

 俺はアリスを抱きかかえて洗面台に向かった。

 アリスは嬉しそうに笑うと俺の首に腕を回した。


「ほら、着いたぞ。さすがに顔は自分で洗えよな」

「洗ってくれないの?」


 アリスは子犬のような瞳で俺のことを見ていた。 

 この目で見つめられると、いや見つめられなくても甘えられたら応えたくなってしまう。


「分かったよ」

「やった。ありがと♡ ちゅ♡」


 頬にキスをされた。

 アリスを甘やかすとキスというご褒美があるのでますますやめられなくなる。

 抱きかかえたままでは洗えないのでアリスを一旦下ろしてから、アリスの顔を洗った。


「櫂。抱っこして」

「はいはい。分かりましたよ。お姫様」

 再びアリスのことを抱きかかえ部屋に戻った。


「着替えはどうする?」

「着替えさせて~」

「そう言うと思った」


 アリスに服と下着を選ばせた。

 アリスが甘えてくるのはもはや恒例なことなので、二人は何も言ってこない。

 二人は自分たちの準備をしていた。

 俺はアリスの浴衣を脱がせた。

 アリスは何もつけずに浴衣を着る派なので、浴衣の下には当然何も着ていなかった。

 昨日も見たが、何度見ても見るたびに美しいと思ってしまう。


「とりあえず、おっぱいでも揉んどく?」

 俺の視線に気が付いたアリスは蠱惑的な笑みを浮かべてそう言うと、両手でおっぱいを揺らして俺のことを誘った。


「この状況で揉まないなんて選択肢はないと思うが?」

「いいよ♡ 櫂の好きにして♡」


 すべてを受け入れるといったようにアリスは両手を広げた。

 この状況で断る選択肢をする男がどこにいるのだろうか。

 俺はキスをしながらアリスの柔らかなおっぱいを揉んだ。


「朝からよくやるね~」

「私も混ぜてください!」


 彩海はこの状況を楽しそうにゲームをしながら眺めていて、有紀は参加してきた。

 当然の流れで、俺たちはそれから一時間くらいイチャイチャしたので旅館を出たのは一時すぎだった。

 


☆☆☆


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