第28話 11日目(火)③ ゲームセンター編(プリクラ編)

 結果、勝利したのは俺だった。

「ふぅ~。危なかった」

「さすがですね。負けてしまいました」

「有紀もさすがだよ。まさかここまで上達してるとは思ってなかった」

「ありがとうございます。次こそはリベンジしますね」

「いつでも受けて立つよ」


 彩海とアリスがしたように俺も有紀と握手を交わした。

「決勝は私と櫂だね!」

「そうだな」

「それじゃあ、早速決勝戦やっちゃう?」

「あぁ、そうだな」

「負けないから!」

「俺のスコアを見てもそれが言えるのか?」

「やってみないと分からないじゃん! 次はミスするかもしれないし!」

「それはお互い様だろ。ミスらない人間なんていないからな」

「櫂って人間だったんだ……」


 彩海はわざと驚いたような顔で俺のことを見た。

「俺はいつから化け物になったんだ?」

「冗談だって! 冗談!」 

 あははと笑った彩海は俺の背中をポンポンと叩いた。


「ま、私はミスらないけどね!」

「彩海は化け物だもんな」

「誰が化け物だ!」


 お互いにからかい合いながら俺たちは太鼓の前に立った。

 さっきと同じ手順でゲームをスタートした。

 彩海のレベルはさっき見たからだいたい分かっている。

 もちろん油断は出来ない。

 俺がさっきと同じスコアを出すことが出来れば勝てるだろうが、言った通り人間は誰でもミスをする。

 ここで負けるのは嫌なのでさっきよりも集中して一ミスもしないように正確に太鼓を叩き続けた。


☆☆☆


 結果、決勝戦も俺が勝った。

「やっぱり櫂は化け物じゃん~!」

「たまたまだって。点差そんなに変わらないだろ」


 俺と彩海の点差は僅か数千だった。

 パーフェクトの数が俺の方が数個多かった。

 たったそれだけの差。 

 当然二人ともフルコンボだった。


「次やったら彩海が勝つかもしれないぞ?」

「悔しい~! 今すぐにでもリベンジしたい!」

「その気持ちは分かりますけど、プリクラを撮る時間が無くなるのでまた次の機会にしませんか? もっと練習したいですし」

「それもそうだね! もう櫂の勝ち確は決まっちゃったけど、三戦目をしにエアホッケーのところに行こう~!」


 俺たちは次の勝負をするためにエアホッケーのところに向かった。

 彩海の言ったように俺がすでに二勝してしまったので、俺の勝ちは確定しているのだが、勝負は最後まで行う。

 前回もそうだった。


「もう勝負決まっちゃったし、今回はペア戦にしちゃう?」

「ペア戦。いいですね」

「いいんじゃない。楽しそうだし」

「三人がいいなら俺はそれでも構わないぞ」

「じゃあ、決まり! ペアはじゃんけんで決めよ~!」

「了解」

「分かったわ」

「分かりました」


 エアホッケーのところに到着した。

 じゃんけんの結果。

 俺と彩海ペアとアリスと有紀ペアとなった。


☆☆☆


 エアホッケーを終えた俺たちはプリクラがあるエリアへと向かっていた。

 夏休みということもあって、プリクラのエリアにはたくさんの人がいた。

 ほとんどが女子で、複数人で楽しそうにプリクラを撮っていた。


「どこか空いてるかな~」

「あそこ空いてそうじゃない?」

「あ、ほんとだ! 空いてる!」

 誰も使っていないプリクラ機があったので俺たちはそこに入った。


「お金を入れる前にどんなポーズをするか決めない? 始まったら一瞬で終わっちゃうし」

「そうね。前回は普通に撮ったから今回はエロプリでも撮ってみる?」

「あり!」

「いいですね。そういうの撮ったことがないので撮ってみましょうか」


 エロプリを撮ることにノリノリな三人。

「本気で撮るつもりなのか?」

「櫂が撮りたくないって言うなら、普通に撮るけど……どうする?」


 正直な気持ちで言うともちろん撮りたい。

 でも、いろんなリスクを考えるとやめといた方がいいのではないかと思っている自分もいる。

 そんな葛藤をしているとアリスが耳元で囁いてきた。


「櫂の考えてることはなんとなく分かるわ。でも、大丈夫よ。外から上半身は見えないし、私たちがどんな写真を撮ってるかなんて私たち以外には分からないから」


 悪魔の囁きだった。

 そんなことを耳元で囁かれたら頷かざるをえない。 

 それにリスクはあるかもしれないが、三人が乗り気なのに俺が水を差して三人のテンションを下げたくはなかった。


「分かったよ。で、俺は何をすればいいんだ?」

「そうね。櫂は真ん中で立っとくだけでいいわ。その周りで私たちが好き放題するから」

「じゃあ、最初はどんなポーズする?」

「とりあえず、服脱がない?」

「そうだね~」

「分かりました」


 三人は着ていた衣服を何の躊躇もなくすべて脱ぎ下着姿になった。

 最初からエロプリを撮るつもりだったのか、三人はセクシーな下着をつけていた。

 彩海は赤色、アリスは黒色、有紀は白色だった。

 相変わらず三人のスタイルは美しい。

 何度見ても見飽きることがない国宝級のスタイルだ。

 家だったら迷わずに抱き着いて、おっぱいを揉んだりキスをしたり、その先のこともしていただろう。

 俺が三人のスタイルに釘付けになっているとアリスがニヤッと笑った。


「おっぱい揉みたい?」

「え?」

「さっきからずっとおっぱい見てるから」

「まぁ、正直に言えば揉みたいな」

「では、最初のポーズはそれにしませんか?」

「というと?」

「私たちが櫂君におっぱいを揉まれているポーズですよ」

 有紀は満面の笑みで二人にそう提案した。


「いいじゃん~! それしよう~!」

「そうね」

「でも、どうする? 一人は揉んでもらえないよ?」

「口があるじゃない」

「確かに~!」

「それじゃあ、誰が口かじゃんけんで決めよ!」


 三人のじゃんけんの結果、言い出しっぺの有紀が口となった。

 それからかなり過激な撮影会が始まったことは内緒にしておく。

 

☆☆☆


ゲームセンター編   了


次回は有紀の実家編になります

お楽しみに〜

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