第15話 2日目(日) 水着の色

「ふぁ~。眠た」


 目を覚ました俺は大きなあくびをした。

 昨日は十二時くらいまでみんなでゲームをして、その後は何時まで起きていたか分からない。

 気が付けば俺は眠っていた。

 そして今、目を覚ました。

 ベッドの上には裸姿のアリスと彩海が眠っていた。有紀の姿は見えなかった。

 きっとリビングだ。 

 いつも有紀が一番に起きて、俺たちが起きてくる前にご飯を作ってくれている。

 有紀は将来絶対にいい妻になる。

 スマホで時間を確認したら十三時を超えていた。

 見事にお昼まで寝ていたわけだが何の問題もない。なぜなら夏休みだから。


「まぁ、今日は日曜日だからもともと休みなんだけどな」

 俺は部屋着を着て寝室を後にしてリビングに向かった。

 予想通り有紀はキッチンでご飯を作っていた。


「有紀。おはよう」

 俺は有紀の後ろに立って腰に手を回し抱きしめた。

 もちろん包丁を持ってないのを確認したうえで抱きしめた。


「櫂君。おはようございます」

 俺の方を向いた有紀は微笑ながらキスをしてきた。


「相変わらず有紀は早起きだな。眠たくないのか?」

「眠たくはないですね」

「そっか。ならいいんだけど。いつもご飯作ってくれてありがとな」

「料理をするのは好きですからね。それに皆さんが美味しいって言って食べてくれる顔を見るのも好きですから」

「有紀は絶対に将来いいお嫁さんになるよな」

「ふふ、そうですか? もちろんそのお相手は櫂君ですよね?」

「俺でいいのか?」

「櫂君以外考えられませんけど?」

「そっか。でも、俺以外にいい人と出会ったらそっちに乗り換えてもいいからな?」

「乗り換えるわけありませんよ。私は好きになったら一途ですから」


 そう言って有紀はもう一度キスをしてきた。

「私に好かれたことを後悔してください」

「後悔なんてするわけないだろ。むしろ俺なんかを好きになったことを後悔するなよ?」

「しませんよ。今のところ櫂君に嫌いなところは一つもありませんから」

「そうなのか?」

「はい」


 有紀は自信満々に言い切った。

 俺なんてゲーム好きの陰キャだ。 

 取り柄はゲームだけ。

 俺にはゲームしかない。 

 こんな俺のことを好きになってくれてる時点で奇跡だし、俺は幸せ者だ。

 だから、せめて今後も嫌われないように心がけることにしよう。

 有紀に嫌われたらもう生きていけないほど俺は有紀自身にも、有紀の料理にも心を掴まれている。


「それなら今後も嫌われないようにしないとな」

「よほどのことがない限り嫌いにはならないと思いますけどね。私も櫂君に嫌われないように頑張りますね。料理もあっちの方も」

 蠱惑的な笑みを浮かべた有紀は体の向きを俺の方に向けると俺の腰に腕を回してきて抱き着いてきた。


「もしかして誘ってる?」

「どうでしょうね~?」


 二人っきりの時の有紀は積極的だ。

 二人っきりの時は有紀から誘われることが大半だ。

 今も俺は誘われている。

 柔らかなEカップのおっぱいを惜しげもなく俺の体に押し付けてきていて、腰を動かしている。

 誘われているのならヤることは一つだ。

 俺は有紀にキスをして、腰に回していた手をおっぱいに持っていき優しく揉み始めた。

 二人が起きてくるまで俺たちはお風呂でイチャイチャした。

 今日の有紀は純白の下着を着けていた。


☆☆☆


 アリスと彩海が起きてきたのは十五時過ぎだった。

 二人同時にリビングにやってきた。


「二人ともおはよう~」

「おはようございます」

「おはよ。よく寝てたな」

「おはよ。櫂。有紀」

「有紀~。お腹空いた~」

「今、準備しますね。少し待っていてください」

「は~い」

 有紀と入れ替わるようにアリスと彩海がソファーに座ってきた。


「櫂は何時に起きてたの~?」

「俺は十三時くらいだな」

「そうなんだ~」

「昨日はお互い疲れ果てるまでヤったからね」

「そうだな」

「そのまま寝ちゃって、汗臭いから私はお風呂に入って来るわね」 

 そう言って立ち上がったアリスはリビングを後にしてお風呂場に向かった。


「さて、ご飯が出来るまでゲームでもしようかな~。ドリクエのデイリークエストもうやった?」

「いや、まだだな」

「一緒にやる?」

「やるか」


 テレビ台の上からス〇ッチを取ってドリクエを起動した。

 ドリクエのデイリークエストを三つ終えたところで有紀が彩海の分のご飯をサイドテーブルに並べた。


「美味しそう~。いただきます~」

 彩海はご飯を食べながらデイリークエストを進めていった。

 有紀も途中から参加して三人のデイリークエストが終わったろことでバスタオル姿のアリスがリビングに戻ってきた。

 お風呂上がりのアリスはいつもその格好だ。

 体の火照りが冷めるまでバスタオル姿のままでいる。


「ねぇ、二人ともこれ見て」

 アリスが俺の隣に座って彩海と有紀にスマホを見せた。

 隣からボディークリームのいい匂いが香ってきた。


「なになに~?」

「どうしました?」

 彩海と有紀がアリスのスマホを覗き込んだ。


「え、めっちゃ可愛い!」

「だよね」

「欲しいんだけど! いつ発売なの!?」 

「明日の十時からみたいね」

「それは買わないとですね」

「絶対買う!」


 何を見て盛り上がてるのかと俺もアリスのスマホを覗き見ると、そこには超絶美人な水着姿の女性が二人映っていた。

「へぇ~。四色あるのね」

「みたいですね」

「私、赤色がいい!」

「櫂はどの色が好き?」

 アリスが二枚の写真を交互にスライドして俺に意見を求めてきた。

 画面の中の女性は赤、青、白、黒の水着を着ていた。


「どれも似合うだろうけど、やっぱりアリスは黒だろ」

 普段身に着けている下着も黒の物が多いし、アリスはセクシー系がよく似合う。


「じゃあ、私は黒にするね」 

「私はどうですか?」

「有紀は言うまでもなく白だろうな」

 ザ・清楚の有紀は白色がよく似合う。


「では、私は白にしますね」

「え、私は!?」

「彩海は赤でいいと思うけど、赤色好きだろ」

 彩海は赤色の物を好んで使っている。

 下着、財布、マグカップ、スマホなどなど、いろんな物で赤色を選んでいる。


「じゃあ、赤にするね!」

「てかさ、相変わらず神スタイルだよね。みよめぐ姉妹」

「だよね! 身長も高いし、おっぱいでかいし、くびれ細いし、もう神すぎ! 全女性の憧れだよね!」

「その二人は有名人なのか?」

「え~! 櫂知らないの!?」

「俺、フォトスタあんまりやらないからな」


 フォトスタとは写真や動画を投稿できるアプリだ。

 俺も一応インストールはしているがあまり使ってはいない。

 投稿は一度もしたことないし、何なら開かない日もあるくらいだ。


「みよめぐ姉妹フォトスタでめっちゃ有名だよ!」

「そうなのか?」

「まぁ、櫂はゲーム以外あんまり興味なさそうだもんね」

「そうだな。あんまり興味ないな」

「みよめぐ姉妹自体には興味ないの?」

「たしかに美人だとは思うけど、俺は三人の方が好きだな」

「櫂……」

「櫂君……」

「櫂って本当に私たちのこと好きだよね」

「好きだな」


 俺は三人のことが好きだし、三人さえいればいいと思っているから、他の人なんて興味がなかった。

「私も櫂のことが好き!」

「私もです」

「私も大好きよ」


 三人は満面の笑みを浮かべて俺に抱き着いてきた。

 俺はソファーに押し倒された。

 その拍子にアリスのバスタオルが外れたが、アリスは気にせずに俺に抱き着いていた。

 俺の体にのしかかる重さは三人の愛の重さだと思った。

 この愛をしっかりと受け止め、手放さないようにしたい。

 いつまでそれができるか分からないけど、お互い死ぬまでできればいいなと思っている。


☆☆☆


第6話の彩海のマグカップの色を赤色に変更しました笑

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る