第7話(全7話)

「と・う・ちゃ・く~っと……これ、絶対に授業中だ……!」


 軽いくしゃみとともに、こっちの世界へと帰還した弓良ゆら。

 意気揚々と教室へ向かおうするのだが、すぐに異変に気がついた。


 妙に静かな校内。ぼそぼそ聞こえる大人の話し声。


 ああ、これは……授業が始まっている。


 そう、自分は完全に遅刻したのだ。

 ゆらは、これから教師に叱られるし、クラスメイトの注目を浴びながら教室に入らなければならない。

 あと、眠すぎる。つまり、授業中に寝るのは確定。ってことは、さらに叱られる……。


 ……最悪だらけ。

 なんという現実。なんという非情。

 でも、弓良ゆらは負けない。この程度、なんてことはない。

 きっと、これから、もっともっと苦しいことが世の中にはたくさんあるはずだから。


 ここで負けていたら、先に進めない!


 いつか、この奇妙な体質は必ず克服してみせるし、自分たちの前から姿を消した母親は必ず見つけ出してみせる。

 それから、やりたいことをたくさん、たくさん見つけて、それから――。


 ああ、私の可能性は手のひら二つじゃ収まらない!



(Let's go home! ~完~)

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Let's go home! 加藤大樹 @KatoNovel

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