第35話 35
35
「それでは役者がそろった所で今後についての話をする。以前から
これは解散する前に
具体的な事はなかったがいずれそうなる事を見据えての事だそうだ。
僕は何処に居ても正直やる事が同じなのであまりその辺にこだわる事はないのだけどそう言う事らしい。
両者の助手は先生達が話す言葉を全てノートに書き残しているみたいだった。
ボイスレコーダーがあるからそれから起こせばと思ったが、それはそれと言われると思い口は出さない。
一つ、20歳まで絶対に顔出しをさせない。二つ、リョー様に無理をさせない。三つ、働くなら楽しく働かせてほしい。四つ、これが一番重要らしいが自分『シグナルスキャン』の用事は最優先との事だ。なんともあの男らしい条件だが、逆に言えばこれだけだ。リョー様、初めて条件を聞いてどうかな?」
父さんらしいかな。僕の事をとても心配している感じがする。
「僕はそれで問題ありませんよ。僕はいつも通りに
「確かにリョー様の言う通りだが本格的に会社が完成するまでは、従来ほど患者を見る事はないからその間は学業に恋愛でも専念してくれても構わないぞ」
「お言葉に甘えてと言いたい所ですが、父の仕事は減る事はないとの話を聞いていますので、そこまで足を伸ばせるかは疑問ですね」
「そうか、それは残念だな。それから後になってしまったが会社の業務形態は神主や坊主などの斡旋業務となる。ここにリョー様も含まれる形となる。ちなみに神主や坊主は特定の派閥や宗教を持たないものとして活動するので、幅広く仕事を受けられると考えている。当然、宗教団体オクトパス教や
僕はこの斡旋で父さんが行っている病気占いサービスに良く似ていると感じた。
斡旋してそこでの仕事は又別となるので面白い所だ。
僕の仕事は怪我のお
ただし、当面はマスクにサングラスと言う怪しい格好での仕事にはなると思うけど。
僕が考えていると応接室にモニターとパソコンが運び込まれて、オンラインで繋げる準備が整った。
そして画面がオンになるといろいろな人が画面に映された。
当然だがその中にも父さんの顔があった。
「只今より新会社設立に当たっての名称決めの会議を始める。本来なら顔を合わせて行いたいが皆忙しいのでオンラインの形をとった。それでは斡旋業務を主体とする会社の名前を決める。どんどん名前を出して欲しい。ちなみにだが、リョー様を会社名に入れる案は却下とする」
僕はその言葉を聞いて安心した。リョー様はあくまでも呼び名だからね。
『タコサービス』
『笑顔サービス』
『赤いサービス』
『にこやかサービス』
どうもみんな自分の宗教団体名から離れられないみたいだ。
『人材派遣オーパス』
『派遣トラベラーズ』
『ミステリー派遣』
『赤い笑顔の人材派遣』
皆からいろんな意見が出されてそして最後に口を開いたのが父さんだった。
「俺の会社が鈴木屋なんだから、笑顔の蛸屋でいいじゃね?」
皆父さんのあまりの新雑な命名にゴクリと唾をのむ。
僕はこれは無いんじゃない?と思い口を開こうとした瞬間に
「いい」と。
そして
そしてモニターや応接室からも良いとの反応があり、最後に僕の意見を聞く事になったのだが、当然僕は皆にNOを言い渡す事は出来なかった。ヘタレである。
結局、会社名としては『笑顔の蛸屋』となったが、別にこれを全面に押し出して営業する訳ではないので問題ないらしい。
要するに会社名と店舗名は違うと言う事だ。
それからいろんな話合いが持たれてその日の会議は終了した。
*
俺はシグナルスキャン。
今日もお馴染みの
会合と言うなの情報交換と食事なのだが、最近あまり食事が喉を通らない様な事がいろいろ起きているので、そろそろ安泰に過ごしたいと考えている。
「今日は早速聞きたい事があるんだけどいいかな?」
そう言って来たのは
俺は予想は出来たが突っ込まないようにした。
「どうぞ。何ですか?」
「リョー様の事だけど、僕テレビを見ていてドキドキしていたよ。どうなるかってね。それでFCリョー様会を解散してどうするんだい?」
早速来ましたと思い答える。
「正式な名前は決まっていませんが、人材派遣の会社を立ち上げる予定です」
「ほう、詳しく」
「名前の通りに人材を派遣します。その中にリョー様も含まれる形ですね。あっでも、俺が
俺は笑顔で答える。
「なるほどね。表向きは宗教からの脱却と会員向けサービスとしつこい世間の誹謗などからの逃亡かね」
「まあ、簡単に言うとそうですね。ファンクラブ的な物だとどうしてもいろいろありますけど、会社の人材派遣ならなんとかなりますからね」
「君達もあれやこれやといろんな手を考える物だね」
「ええ、息子の為に知恵を教団には伝えました。要望もですけど」
「要望?」
「ええ、こちら俺を最優先で息子を使うと」
俺はここまで話し、ビールを煽る。
「流石シグナルスキャンと言った所だ。リョー様の話はこれくらいで、とりあえず君達家族の方の安全はなんとか道筋が見えたのでその報告をね。外から入って来る外国籍と国内で動く者達の動向は既に把握済みで、怪しい奴は適当な罪で仮逮捕している状況だ」
「大丈夫なんですか?そんな強引な手法で」
「問題ないらしい。見せしめでもあるらしいから徹底的にやるらしい。ジャーナリストじゃなくてコメンテーターの件でリョー様が表から消えてしまったのでそれも彼らには痛手になっているらしいからね。それでコメンテーターはどうなったのかね?」
「どうもしていないそうですよ。謝罪に訪れたみたいですけど追い払ったらしいので」
「オクトパス教団としては大人の対応だね」
「まあ、息子がいるからじゃないですか?ここで教祖が逮捕されれば終わりですからね」
「違いない。よし、難しい話はここまでにしておいて、後はシグナルスキャン君の女性関係でも暴きながら飲もう」
「暴くって…俺それほど悪い事はしていませんよ」
「おや?スマイリーからなにやら写真が携帯に届いたのだけど、又、スタイルの良い女性だけど…」
チッ!
俺は舌うちをする。
「シグナルスキャン君、
俺はほろ苦い酒を煽りながら
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